息子と月をみた。雪が積もる露天風呂で。2年ぶりである。コロナ禍になる前は毎週末いっていたのだが、断ち切れになった。いまは週末も部活がスケジュールの骨格として支配いているし、なかなか機会がなかったが、たまたま1日みつかった。

「月がすごく遠くにあるようにみえる」

その日は空が澄んでいた。寒いが、湯船につかっている限りは頭だけが寒い。それが心地いい。息子は水風呂の代わりに一度全身を外に出し、冷えてから湯に入る。

仕事で大事だとぼくが思っていることを2つ、伝えた。一つは筋を間違わないこと。もう一つは、その上で優先順位を間違えないこと。筋はそれぞれの人がどんな責任を負っているか、どういう構造になっているか、ちゃんと正確に理解しなくてはいけない。その人がどんな気持ちになるか、なりやすいかもそこから察することができる。人が動く力学をまず抑える。そして、自分が与えられた仕事の成果を出し、責任を果たすにはどういう手順で作業をすすめるか。順番を考える。

「自分に厳しいことも大事なんやろ」

そう。それは前にもいった、ぼくが出会った一流の人に共通していたこと。なんとなく、覚えてくれていればうれしい。息子との温泉はほぐれて、道中含めてじっくり話せる。いい時間なのだ。息子がいないと温泉がもうつまらなく、行く気がしない。