無条件

理屈抜きで好きといえるものはごく限られている。頭を差し置いて、心、あるいは胸がまず反応するやつ。ぼくにとってはそれは鴨の親子。

長女はメルの絵をよく描いていた。

メルがいて、小さかった子どもたちもメルを可愛がる。愛する子どもたちが愛する様子をみて、幸せな気持ちになる。愛がスパイラルに増幅していた。

こんなことを入力してるからか、Instagramに鴨関連動画が流れてくる。警察官に囲まれて、横断歩道を渡って川に飛び込んでいる。このために税金払っているようなもの。晩年、また鴨を飼い、毎日世話するのが夢。

夏休み

「パパとつながってる」と大きな声。

22時ころ。ビデオ通話をコールしたら出たのは元気な長女。機嫌が良否が伝わってくる。

「マルおいでー」と呼びながら近況報告を聞く。

もうすぐ夏休みで、友だちとの予定がパンパンで「もうどうしようたいへん」と嬉しそうに困っている。音楽のテスト、個別のものがあってイタリアの歌が課題曲らしく「イヤホンしてる?」とことわりを入れてから、大きく歌う。

週末は部活とコンクール。「まだ先輩を引退させないから」と強い思い。

家族みんなでバレー日本代表の試合を見ていたようだ。イタリアに勝って9連勝。

社会の宿題をしていたらしく、きれいにまとめたノートをみせてくれる。

うれしそう

ビデオ通話で。次女がこないた美術館にも展示された図工の絵をみせながら、戻ってきたことを報告。図工の先生に「少し貸して」と言われたそう。

真ん中にムンクの絵、その額縁を左右の手で持っている。「夜の美術館」がテーマ。

左右の手が立体的でうまく描けていると自分でも嬉しそう。図工の先生は美術館で個展をやるくらいで、尊敬している。

「わたしもそういうふうになりたいんだよね」

親子丼

久しぶりに、夕食つくる。親子丼。大きななめことじゃがいもと玉ねぎの味噌汁。妻と買い物。

二週間前に買っておいたメロンも、ちょうど熟れていて、ペロリと食べていた。

「パパの得意料理だね」と次女。

「具がたくさん入ってるお味噌汁、好き」とも。

そう。ひとつくらい、思い出の味として覚えておいてくれたらと。

小さなころ。ぼくがサラダを積極的に食べないことから、母はナスやニンジンなど、味噌汁にたくさん具を入れていたんだね。

カラオケ

家族でカラオケ。息子も来る。行き慣れているのか、どんどん曲が入る。ぼくは聴く側にまわる。一曲でも子どもたち、妻が歌ったほうがよかろ。大きなプライドポテトを長女がおねだり、びっくりするくらい高い値段だけど喜ぶ顔がみたいからオッケーする。

ドリンクバー。ホットコーヒーと冷たいソフトドリンクも飽きたので、サイボスティーやジャスミンティー、あったかい飲み物に切り替えて、ディーバックをお湯に浸していると、長女が「そんなのあるのか」と気になったらしい。

「ちょっとちょうだい」

「ジャスミンティー、初めて飲んだのは高校の修学旅行で北京に行ったときだな。ママも行ったやつ」

「体にいいんでしょ。飲み過ぎると毒になるけど。『薬屋のひとりごと』でいってた」

曲は藤井風、HANA、ちゃんみな、vaundy などイマドキのものばかり。

次女は「back numberが好き」。控えめに息子に合わせて歌う。

息子が『糸』を歌った。こんな日が来るのかと感慨深い。「だれかの傷をかばうかもしれない」の歌詞を読んで、「なるほど」と長女が関心していた。

家族5人で揃う思い出というのは、もはや珍しい。これこそ、何十年後かに、自分の心を懐かしさとともに温めてくれることだろう。いまのぼくがiPhoneに出てくる写真によって、そうされているように。「この日はもう訪れない」という一抹の寂しさと共に。

家族が元気で探しているなら、それで十分。

バレー

黄昏どきの週末。家の前の道路で「ダムダム」とボールを弾く音。次女がバレーボールでひとり。ハイキュー、ネーションズリーグ、兄。どの影響からか。

「バレーやりたい」と家に戻ってきて、ボールを戻しながら楽しそう。中学に入ったら、やってみるのもよし。兄がアドバイスをしてくれたらいいのだが。そこは距離がありそう。

ミサンガ

「つくったよ!」と次女からLINE。調べて、7つの糸を使って編んだみたい。見事に綺麗なミサンガになっている。興味を抱き、自分で調べてつくる。絵もしかり、こういうのが好きなんだな。

妻が目眩でこの週末寝込んでいた。

「うち、サラダつくったよ」と手伝って、自分たちで家族の生活を成り立たせることに貢献したようだ。心強い。