「ねえ、サンタって、ひとりなの?」(長女)
お風呂で。12月になったら急にサンタの話をしはじめた。不思議に思うのも無理はない。
「パパ会ったことないからわからない」
「たぶん一人なんじゃないかな」と次女。去年置いておいたクッキーと紅茶を食べて飲んでいったことがよっぽど印象深かったのだろう、その話をよくする。
ぼくは彼女を背中側からいつものようにシャンプーしている。長女は湯船。
「サンタさんって、世界で一番やさしいとおもう。だって子どもたちが欲しいもの、ぜんぶかって届けてあげるんだもん」とつづく。
「そうだね〜」とぼくが答える表情を覗き込むようにじーっと長女がみている。
「パパ、残念そうだよ」と長女。
「なんで?」
「パパが一番やさしいとおもっていたから」とぼく。
「だからぁ、パパとママを抜かしたら、サンタさんが一番」
「そういうことね」
次女のプレゼント、「メルのオムツをプレゼントしてほしい」というので「ないんじゃないかな」と説明するが「サンタさんならきっとつくってくれる」と信頼が厚い。
ぼくの仕事の工事現場で職人さんが大きな怪我をして病院に運ばれたそうだ。その病院で彼女たちも知るぼくの親友が働いていて、その科に運ばれたと思うと話す。「大丈夫だった?」と真剣に心配する次女。ぼくよりも心配している。命に別状はなかったと伝えると「よかったね〜」と心から安心していた。6歳にしてずいぶん思慮深く、優しい。サンタよりも。