幻の命

「なんで歌ったらだめなん?」(長女)

車の中で。息子に。

SEKAI NO OWARI に『幻の命』という歌があり、息子は小さいころから好きである。おそらく繰り返し聞いた歌のかなり上位に入る一曲。いつしか娘たちも好きになった。

Live DVDを買ってみんなで車中でみていると、ついにこの曲になった。一緒に口ずさむ娘たち、それを舌打ちしながら「歌うな」と苛立つ息子。そこで長女は上の質問。

「聴きたいから」、と息子。

どちらの気持ちもわかるから、黙っている。諦めてしずかになる長女。

何百回と聴いたうたのLiveの歌声を、じっくり聴きたいのだろう。かみしめるように画面をみいっていた。

2回目の再生ときは、「歌っていいよな」とぼくが息子にきいたら「うん」とうなずき、長女は口ずさんだ。でもその声はさっき止められた無邪気なときより小さかった。

「いつか、おれ行こう」

息子はLiveに行きたくなったそうだ。