寝床に長女と一緒にいく。彼女はおばけずかんを読み、ぼくは司馬遼太郎さんの『十六の話』を読む。
「何読んでるの?」としげしげとみてくる。
「これ、自分の本?」
珍しくぼくが本に線を引いている所作が気になったようだ。
「21世紀を生きる君たちへ」が最後の話。それがとてもいいんだというと、彼女が音読をしはじめた。大阪では小学校6年の教科書にあるらしい。意外にも漢字もしっかり読めている。でもときどき読み間違いをするからそれを指摘すると途中から音読をやめた。けど黙読して最後まで読み切った。
「人にやさしく、自分にきびしく。」
その一節が気に入ったようだ。
「ママもこないだ言ってたよ。」
次女に言っていたそうだ。
朝、息子に小学校のときやったかと尋ねたら教科書が違うのか、彼が忘れたのか記憶にないらしい。この歴史にのこる名文を読んでないのは日本人として損だ。ぼくが最初に読んだのは司馬遼太郎記念館の展示パネルにて。立ち止まって、読んだ。大人だったけど。