看病デー

次女は今日は保育園を休んだ。お昼まで一緒に過ごす。体温は図ると36.1度で下がっている。咳がやや出る。

 

ぼくがメルの掃除をしている間、次女はプランターに水をあげてくれる。

「お腹空いた」というから一緒に朝マックを買いに行く。普段は妻とトランポリンの後にマクドナルドにいっているが、朝マックはいったことがなかろう。マフィンのことを「白いふかふかなハンバーガー」と説明したら興味深々である。

「この粉、なに?」

マフィンについている粉。眉間にシワがよっている。苦手なんだそうだ。

「白いパンはおいしいけど。」

あの粉の味を感じたことがないが、いろいろ中毒性のある薬だったりするのだろうか。

オレンジジュースはミニッツメイドで、それがとてもおいしい。

「このくらいに小さくなって、この中に入りたい。」

小指の先くらいの小人になりたいらしい。

「そしたら冷たいし、飛び込めるし、たくさん飲める」

「でもね、いいこと教えてあげようか。小さくなったら、お腹も小さくなるからたくさん飲めないんだよ。」

「あ。そうか。」

残念そうである。「それって、いいことなの?」といぶかしがられる。

食べたあと、オレンジの粉薬を飲ませる。最近の薬はよくできていて、おいしいそうだ。飲むのを楽しみにしている。

 

「パパが小さくなったら、どうする?」と次女。

「よろしくね。世話して。」

「わかった。でもふんじゃうかもね」

 

その後「散歩に行きたい」というのでぼくの自転車に乗せて近所を一週する。気持ち位のいい快晴である。保育園を見に行きたいらしい。今何をやってるか気になる模様。

「今日、お楽しみデーだったんだよね」

道中、いろんな歌を歌ってくれる。「まっかだな」とか「どんぐりころころ」など。保育園で朝歌っているそうだ。ご機嫌である。

道路沿いにユリやブタクサの花が咲いていた。ユリの中をしげしげとみつめる。

「黄色い粉があった」

メタセコイアの木に蜘蛛がやたらいっぱい巣をつくっている。

「蜘蛛は自分でおうちをつくれるんだ」とぼく。

「へえー、いいな」と感心している。でもこの家は来客はすべて食材になる。恐ろしい家だ。

路端の苔をみて「ね、山みたいだよね」とつぶやく。確かに飛行機からみたときの山だ。でも彼女が飛行機に乗ったことなんてあっただろうか。

保育園につくとちょうど同じクラスの子が園庭で遊んでいた。「いいな。行ってみたい」というがやんわり制しながら踵を返し、家に戻ることにする。途中に小さなポメラニアンの散歩に出くわす。「まだ犬飼ったことないから、なれてないんだよね。吠えられたら怖い。」そのポメラニアンとすれ違うときこっちをみている。吠えることはなかった。「かわいいね。」

 

「ねえ、家に帰ったら絵本読んで。」

寝床でいつもはじっくり読んで上げられないから、ここぞとばかりにたくさん読んであげる。『ピーター・パン』、『もぐらバス』、『スイミー』、『めくってバア』、『

なめれおん』、アナとエルサの彫刻コンテストの話など。読んでは棚に行き、次の本を探してくる。途中でぼくのまぶたが重たくなってくる。

「パパ、寝ないで。読んで」と何度も言われる。

そろそろ仕事の支度をしなくてはいけないので、シャワーに入るとぼくがいうと一緒に入るという。一人になるのはいやらしい。

「じゃ、お風呂のドアの外でお絵かきしてて」とお願いいたら、ほんとうにやった。大きな太陽と大きな虹の絵。そこに女の子が立っていて吹き出しがあり、「あなた、熱いわね」と太陽にはなしかけている。「いつも熱いよ」と太陽が返している。

 

そうこうしている家に妻が帰ってきて、ぼくは仕事へ。すっかり元気のようでよかった。妻に絵本をたくさん読んでもらったのが嬉しいと話をしていたそうだ。散歩もしかり、思い出に残るいい時間であった。