忘却

次女の保育園で今日何やったかきくと、しばらく思い出すのに時間をかけたあと「プール入って、それから組体操!」と返ってきた。

「運動会だな」とぼく。

目が大きくなって、口がまんまるに開いて「ハッ」とした顔になる。

直後に手で口にあてて、しまったと悔やむ。

「いっちゃだめだった。」

隣で長女が「組体操したん?」と追い打ちをかける。

「ダメ!わすれて。いますぐ。」

「わすれたよ」とぼく。

「ほんと?うそついたら、だめだよ。」

「うん、わすれた」

ホッとした顔になる。ウソも方便というやつだ。

息子が横からこの茶番を言葉は発さずにみている。

妻が流れをさえぎって「だれとペアなの?」と尋ねる。

台無しである。

「まだ決まってない」

そのまま答える次女の素直さ。

いつまで内緒にするつもりだったのだろう。

いよいよ駐車場の利用についての事務的なメールが来た。もう1ヶ月で次女の運動会だとおもうと楽しみよりも切なさが大きい。