鴨の置き物

鴨の置き物を持って帰ると、長女と次女が喜んだ。長女が紙粘土でつくった夏休みの工作、3代目メルの置き物と似たサイズで、おしどりになった。長女が3代目メルの骨壷を挟んで二羽を並べる。

「よかったね、メル」

骨壷に語りかける。

次女はその日のキーマカレーを少し皿に盛り、お供えものにする。水も横に添える。

「うち、イタチとかヤマネコとかきらい」

3代目メルを襲ったと思われる野生動物。

「でも、人間もお肉食べてるよね。なんでメルが食べられたら悲しいんだろ」

キーマカレーも、肉である。

肉を食べておきながら、襲われたら悲しくなる。辻褄の合わないように感じたのだろう。

いずれにせよ、3代目がいなくなって3年以上たつのに、彼女たちに弔う気持ちはまだまだあるようだ。愛があってよい。

ぼくの仏壇や墓にも、しばらくはこうして気にかけてくれてくれるのかな。ならば、死後も寂しくなかろう。