久しぶりにデパートへ行って、買い物をしにいった。妻と長女と次女がH&Mでキャッキャと服を選んでいる。長女はピアノの発表会で着るためのドレスを選んでいる。
息子のハーフパンツを買ってあげようとサイズを選ぼうとしたら、140センチまでのサイズしかない。息子の身長は145センチになっていたから、150センチのサイズのものがいいのだけど、キッズにはもうそのサイズは品揃えはないのだそうだ。
では成人向けの小さなXSはどうかとそのコーナーに探しにいくと、ウェストサイズが倍くらいあってブカブカでとてもはけない。
この身長、この年令はぽっかり商品ラインナップから抜け落ちていることがわかり、男性陣は急に手持ち無沙汰になって、退屈になる。そしてそういうとき、心地よく時間を過ごせる場所はデパートにはないから好きになれない。
走り回ることもできず、「暇や」と息子のウズウズが始まる。もともと、こういう窮屈しそうな商業施設は息子は向いていない。
気持ちがわかるので、ちょっと外を歩いていると妻に伝えて、二人でデパートをそそくさとでる。
喉が乾いたというから、自動販売機で何か買ってあげようかとおもうけど、せっかくなのでマクドナルドでバニラシェークを買ってあげることにした。ぼくも初めてシェークなるものを飲んだのは同じくらいの年齢の頃だった気がする。こんなうまい飲み物あったのかと感動したものだ。
息子も美味しいと素直にチューチューストローをすすっている。
妹の二人がいたら、ぜったい「私も」っていうから内緒にしようなと口裏合わせ。
シェークを与えたら落ち着いたのか、歩き回る必要はなくデパートの前の広場で女子チームを待っていることにする。
女子チームが出てくる前にシェークのコップとストローは処分しておいたほうがいいよな、となって、息子が横断歩道をひとりで渡ってマクドナルド店内のゴミ箱に捨てにいく。
女子チームが出てきて、「お兄ちゃんは?」となるので指をさすと間に合ったようで横断歩道の向こうからわたってくる。
抱き上げた長女から、兄は「何してたの?」と質問される。
「いやちょっと」というやりとりでお茶を濁す。
息子とぼくはなんとか証拠隠滅が間に合ってほっとしながら「さあ帰ろう」とみんなで歩いていくと、長女に「何か、食べた?」と聞かれる。
「何で?」
「何か、牛乳の匂いがする」
抱き上げると長女の顔がぼくの顔の前にきたから感じ取ったのだろう。ぼくが息子からもらって飲んだのは一口か二口なんだけどな。
警察犬のような嗅覚に舌を巻きながら、
「うん、バニラを飲んだ」
と恐る恐る薄情すると、
「そっか」
といって「私も飲みたい」とはならなかった。
女性のカンは鋭いとつくづく思い知る。男は隠したと思っても、女性にしてみたらザルなのだ。6歳でも簡単に見抜かれてしまうのである。
その鋭さでいつか男ともめなきゃいいなと思いつつ、いたく感心したのであった。
みんなお腹が空いたというので何が食べたいか長女にきくと「うどん」と返ってきた。
車にのって、うどんやさんがどこにあるかピントこないので「パスタでもいい?」と聞いたら「いいよ」といっていたのでいつものパスタ屋にむかう。
今日はあまり自己主張がないのは、発表会のドレスでお気に入りのが見つかったからかな。紫色のドレス。次女もおさがりではない自分の服を買ってもらったもよう。
服選び、娘たち自身がすごく興味深々に、積極的に選ぶところが、息子のときとは全然違う。フィッティングルームに入ってあれやこれややるくだりは、息子にはなかったな。