夜息子が珍しく隣で寝たいと。やりたくないけど、枕元で携帯がブルっとなり、メールをみる。暗闇で光るスマホの文字を、息子も気になったようでみる。
メールボックスのamazonからのメールが目に入ったようで、「父ちゃん、『様』ってよばれとるね、うれしい?」と聞いてくる。「王様みたいだね、様ってよばれて」
彼のなかで、昔話とか、本に出てくる人で、「様」呼ばわれする人は偉い人、ということになっているのだな。まさか自分のオヤジが呼ばれる立場だと夢にも思ってなかったのだろう。すこし語調が興奮気味。
amazonさんは、機械で、自動的に「様」がついているのだよ、というのも露骨に興を冷ます気がして、「別にうれしくないよ。まぁこの人はみんなに様っていってるからで、父ちゃんが偉いわけではないからな」くらいに返した。
「ふーん、そんなヤツおるんやね」
「様っていわれて、いやな人はおらんから、そうしてるんだろ」
「ふーん」
amazonがまさか少し父への敬意を生むとは思ってなかった。