配慮

ロシアンオリーブがアリンコはじめ、虫にやられた。青葉がたくさんこの時期に落葉してしまった。これまでとどまるところを知らない勢いで伸びさかっていて心強い限りだったのに、突然こういうことにもなるんだな。家の中の視線をさえぎってくれていたのであるが、もうスケスケである。

思い切って剪定して、半分くらいの密度にした。スカスカである。剪定がおっくうだったのには理由があって、チクチクしているのである。切った枝を拾うと小さな棘状の枝が指に刺さって地味にいたい。軍手だろうとゴム手袋だろうと構わず貫通してくる。

昨日もやはりそうなって、ぼくの親指にしっかりと3ミリほど入ってきた。軍手に血がにじむくらいの傷である。顔をしかめながら、我慢して黙々と作業を進めていると、庭にいて手伝っていた次女が家に入ったかとおもうと戻ってきて「はい」と絆創膏をくれた。

「パパ、痛そうな顔してたでしょ。」

言葉で「痛い」をいったわけではない。一連のぼくの表情をみて、判断して、自発的に動いての配慮。痛みを忘れて喜びでいっぱいになる。「ありがとう」を何回もいいながら「人の気持ちがわかるって、すごいことだよ」と褒める。