入賞

出張から帰ると、長女の顔からようやくガーゼが外れていた。一週間のうち、4回皮膚科に通ったおかげで、ずいぶん回復してくれた。胸をなでおろす。

昨日の写生会で描いた消防車の絵がクラスで金賞だったらしく、とてもうれしそうに話をしてくれた。早くその絵をみたいものだ。次の参観日はいつかな。

「わすれた」

天気がいい朝は自転車に次女を載せて、手押しで保育園まで行く。人力車である。昨日は出張だったから、夜話せなかった。

昨日は保育園で何をやったかきくと「わすれた」とハキハキした口調で返ってくる。

「外に出た?」

「出たよ。おやつ食べたら、外に出るから。雨の日以外。」

「誰と遊んだの?」

「わすれた」

あったことは、その日のうちに聞かないとダメらしい。

いつもと同じ道を行く。結婚式場の脇に生えている「竹とたけのこの間の樹」をいつも指差す。「おしゃれ。」

並木道の葉っぱが黄色や黄緑色や赤色になってきている。

車庫で鎖に繋がれたドーベルマン風の犬がいて、いつも吠えてくるのだけど今日は吠えない。

「警察を助ける犬に似てるね」

「そうだね」

「あの犬は、警察を助ける犬を助けてるんでしょ。パパが言ってた」

ぼく、そんなこと言ったっけ。

車道脇の横断歩道にでると、車が抜かしてゆく。その車に友だちが乗っていることをみつける。

保育園につくと、作ったマラカスを持ってきてくれた。化粧品の空きパックをテープで飾って、外でみつけたどんぐりとかを入れたものらしい。今日の別れ際はスムーズで、カバンのタオルなどをセットしたあと、教室の入口で待つぼくにギュっとしたあと、すっと教室に入っていき、おままごとで遊び始めた。

家と外

建築家の講演会のあと、息子が好きなカレー屋にいった。食べながら鼻水がでるといって、紙ナプキンを拝借。鼻を噛んだあと、店内をうろちょろして「ゴミ箱どこだ」と探して、トイレの前で見つけて捨てる。おい家だとお前のテーブルの上、注意しないとずっとディッシュのクズだらけだぞ。そのギャップに同じ人物だと思えないが、外と家では振る舞いが違うのかもしれない。良くとらえれば、家では心を許してだらしなくしているのか。その分、外ではちゃんとしようとしているのか。普段はそこまで想像力を親は働かせてなくて、ただただ心配なので家ではドヤスけど。

建築家の講演は最初の5分だけ、本を読みながら聞いて、あとは寝ていた。わざわざ公文を休んで連れていった甲斐があったのか、あやしい。建築に興味はないのはわかってはいるが、自分の街がどうして作られたかには意識を持ってほしい。講演が終わって起こしたら元気になって「もったいねぇな、おまえ」というと「美術館がどうしてそういうカタチかはわかったぞ」と言っていたので収穫ゼロではなかったようだ。

世界への好奇心

息子がサッカー教室の帰り、実にいきいきと「父ちゃん!」といって、ドイツまたはイタリアにサッカー短期体験トレーニングのチラシをもってきていた。ペルージャにいくらしい。40万円、10日間。あいにく我が家には手が届かず、その機会を与えることはできないが、そういうのに臆せず飛び込みたいとまっさきに思う意欲は素晴らしいし、大事にしてほしいと思う。こいつのいいところだ。すぐに「高い」というぼくからのリアクションが来るのは想定済みで、「でもねでもね、40万円は通訳、トレーニング、宿泊、交通費、食費ぜんぶコミコミだからそんなもんだろう」との主張。友人の親は「すぐに行って来い」といっていたらしい。

それでもそんなキャッシュはない。「いまじゃなくても」とやんわり断ったら、我が家の懐事情を察して、それ以上あまり踏み込んでこなかった。テニスでも同じようなものがあれば、そっちも行きたいといっていた。いつかね。

声ガラガラ

昨日から引きはじめた風邪で声がガラガラである。「声、なかなか治らないね」と次女がお風呂場で。身体を洗ってあげていたら。

「なんで、声かわるの?」

なんでだろ。

続いて長女を洗う。顔がまだ怪我しているのでタオルを当てて、顔に水がかからないようにしながら。いつになく、ぼくも丁寧に洗うと、頭のカタチが赤ちゃんの頃から変わってないのに気づく。少し後頭部の左右がポコンと出ている。

ぼくに気をつかってか、先にお風呂から上がって待っていると、今日は「バスタオルとって」だけで、「拭いて」とはいわず、自分たちで拭いていた。次女も自分で拭けていた。初めてじゃないかな。ドライヤーだけしてあげる。

あと何回、二人の身体をこうして洗ってあげられるかな。

 身体が冷えたらまずいので、今日は息子のサッカーを見に行くことを断念した。早く寝ようと寝床にいく。あとから寝床に来た次女が「のぼらせて」というが、しばらく身体が動かなかったらこれまた空気を読んだのか、自分でのぼろうとしてみて「のぼれた」と昇ってしまった。これまた初めてじゃないかな。

顔に傷

長女がマラソン2位の翌日、学校の帰りに顔面からコケて、顔にどえらい傷をつくった。上の前歯も二本もグラグラ。つらかろう。皮膚科にいくと「もっと早く診せにこい。女の子なんだから」と怒られる。申し訳ない気持ちになるし、それを聞いていた長女も不安になっただろう。でも、「どうであれ、パパはパパだ。かわいいまんまだよ」と言い聞かせて抱きしめる。ほんとうに、そうおもってるんだ。早く良くなるといいのはもちろんだけど。

「うわっ」

次女は甲高い声でよく「うわっ」という。転びそうになったときはもちろん、ちょっとびっくりしたとき、思っていたときとちがうときなど。発見があるときともいえる。

鼓膜に来て、けっこう耳につく。世界をフレッシュにみているかんじがして好きな声だ。