なりたいもの

長女が寝床で「わたし将来、何なりたいとおもう?」と聞いてくる。

「一番最近は、パティシェだよね」

「ううん。変わった」

「なに?」

「絵描きさん」

先日美術館で美大の修了展にいっていろいろ刺激を受けたかな。

 

続いて次女が寝床にやってくる。

このくだりを聞いていたのだろう、自分は「アイススケート滑る人になりたい」と次女。

「どっちも応援するよ」と返すが、フィギュアスケートは全くてがかりがわからない。

「滑って怪我していたいいたいにならないか心配だなぁ」とついいかにも親、みないな興ざめなことを言ってしまう。

カチャカチャ

あまりにも取り合いになるので、我が家にルービックキューブを2つ追加で購入。一人一個体制になる。もう喧嘩にならないかとおもったら、となりでやっているやり方が気に食わないらしく「やらして」といってまた取り合いになっている。

妻もはまりつつある。ぼくもやってみるがいっこうに1面もつくれない。長女に貸してみたらすぐに1面を仕上げてくれる。息子も「こうなったら真ん中を一度逃して」という業界用語をつかってアドバイスしてくるが、まったく理解できない。息子がぼくに「かして」というと長女が「パパがんばってるから」と制す。アドバイスも控え目で、ふたりとも歯がゆそうにみている。

結局できずに長女にまた預けたら「ほら」と仕上げてくれる。

「一度この色と決めたら、ぜったいかえちゃだめ。諦めたらできないよ」と長女。

たしかに最初緑、できなかったら白というふうにフラフラしていただけに胸に刺さる。

子どもたちを尊敬したね。ちなみに次女はまだやろうとはせず完全な六面色が揃ったまま。「くずしてもいいからね」と寛容なことをいっているが、まだ崩れていないようだ。

カチャカチャカチャカチャ。単純にして複雑、頭と手がつながらないとできない。すごいおもちゃだなこれ。

ほんとかな

次女とスーパーで買い物をして駐車場にいく。数字を読めるようになった次女は我が家の車をみて、ナンバーを読み上げる。

「後ろはどうだろ?」

「同じだよ」

「エー。ほんとかな」

最近、この「ほんとかな」という言葉をよく聞く。

車の後ろに回る。この目で確かめないと気が済まない。いいジャーナリストになりそうだ。信じてくれよ、とたまに思うけど。

「ほんとだった」

うれしそうに報告を聞いて、車に乗る。スッキリした顔をしている。

「ママの誕生日なんだよ」

「ふうん」

進歩

ぼくと長女が先にお風呂に入っていると、ついこないだまでは「先に入らないで」と脱衣所で泣いていた次女が、最近は泣かずに一人で服を脱いで後から入ってくるようになった。前は自分で服を脱げないのと、置いていかれた寂しさから泣いていたようだけど、いまは脱衣所からお風呂に向かって手を振る余裕さえある。

そのことを長女と一緒に浴槽につかりながら話をしているうちに、次女が入ってきた。小さな変化だけど、大きな成長である。

かけこみリンゴ

長女と次女は夕食を終えてお風呂に入り、お風呂で歯を磨く。この流れが寝るまでに一番スムーズな流れ。

一昨日はデザートのリンゴをみんなに出すタイミングが遅れてしまい、一番で食べ終えた長女はもうお風呂に入る直前であった。リンゴをまだ食べていない。

お風呂からあがってリンゴを食べたのではお風呂で歯を磨けない。かといってリンゴを食べさせないもの可愛そうだなと浴槽につかりながら迷っていると、そのあたりを察して妻がリンゴを二切れ、お風呂にもってきた。長女が受け取る。実にいいパスである。

リンゴの二切れを受け取ると、長女は「はい」とぼくに一つを渡そうとしてくれる。

「いいよ、二つとも食べな」。目を細めながら気持ちだけ受け取る。

嬉しそうに湯気の中で頬張っている。

「リンゴをお風呂で食べてる人、初めて見たよ」とからかうと「うふふ」と笑っていた。

ほしいもの その2

ぼくがウトウトしていると、寝床に入ってきた息子がひとり、隣で泣いてるような声でうなっている。

なんだなんだ。

声をかけると

「まえ、父ちゃんからもらったテッポウのおもちゃ、ほしい」

とのこと。あれは息子の判断で、以前リサイクルショップに売ったものだ。ぼくが小さい頃に遊んでいた、トランスフォーマーの、テッポウからロボットに変形するやつ。小さなロボの頭がピョコッとボディに出ているテッポウ。息子がまだ保育園にいってたとき、よく重宝したものだ。ぼくの名前が書いてある。

リサイクルショップにいって、買い戻したいという。なんで急に。ノスタルジーなのか、当時ぼくが促したのを断らずほんとは我慢してたのが今になって噴き出たのか。

だいぶ前のことだし、もう店頭にない可能性があるよと伝える。がっかりさせたくないから。

じゃぁ同じやつがほしいという。30年も前のものだし、市場にはなかろう。

愛着をもってくれたのはうれしいが、とまどう。

 

こんばんは手羽先の甘辛煮をつくった。息子がバクバク食べてくれた。うれしいのだけど、ほかの家族の分がそのペースだとなくなるので、もうこれ以上なしね、とストップをかけた。

普段はあまりない。息子はブーブーいってふてくされた。おまえ、半分は食べてるぞ、おれよりというと、これまで食べた骨を数えていや、半分ではないと主張した。たしかに半分ではなくて謝った。美味しすぎるとこういうこともあるのだな。本当は幸せな食卓になるはずなのに。気まずい空気。もっと買っておくべきだったと後悔する。

結局、手羽先は二本余った。息子にあげようとするが、もう風呂に入っていた。

風呂から上がったら食べさせてと長女の寝かしつけのために妻にいって寝床にいったが、あとからみたら結局手をつけなかったようだ。

 

おもちゃと手羽先、あまり関係ないかもしれないが、我慢をいろいろさせていると、あとあとしわ寄せがくるのかもしれないと思った夜。

ほしいもの

次女、寝かしつけのとき。

お兄ちゃんは自分に優しい。パパに怒られたとき優しくしてくれる。

お兄ちゃんはお姉ちゃんを怒るときがある。自分には怒らなくて優しい。

お兄ちゃんがお姉ちゃんを怒ると、パパがお兄ちゃんを怒るよ。

といったあと、こういった。

「自由がほしい」

「ん?自由じゃ、ないの?」

「自由だよ」

「よかった」

「でも保育園でおもちゃとられるとき、自由じゃない。」