晴れていた。ぼくが送る最後の登園。次女をいつものように自転車のサドルに座らせて、ぼくが手で押す20分。
途中、崖の草花をみながら「ここにヤギつれてきたら、すごい喜ぶよ。」と教えてくれる。つくし、つくしが葉っぱになったやつがたくさん生えている。
「あの紫色の花は、食べさせたことない。」
草むらの中に、ペットボトルやビニール袋が落ちているのをみつける。ざんねんそうだ。
「今度の日曜日、みんなで清掃する日だからきれいにしようね」
「うん。なんとかハカイになるんでしょ」
「環境破壊?」
「そうそれ。先生がいってた。」
この会話だけで、ほんとうに次女がこの保育園に通わせてもらってよかったとつくづくおもう。
いつもの結婚式場の隣の道をとおる。
「ねえ、なんで、結婚式ってこんなにごうかなところで挙げなきゃいけないの?」
「たくさんの友だちを呼ぶからじゃない?」
「そうなんだ」
ぼくとしては立派な建物でなくていい。理想はゴッド・ファーザーの結婚式。あれからギャングを除いたもの。外でみんな踊ってるやつ。
大きな階段の手前まできたとき、「降りる」といって、一人階段を登りだす。ぼくは自転車で回り道をして、どっちが先についているかの競争。はじめてのことだ。
自転車をひとりでこぎながら感じた。「もうひとりでも大丈夫」なところがある。安心して一人で行かせているぼくもいる。全部一緒じゃなくてもいい。小学生になるのだな。実感が湧いてきた。
階段の上までいくとすでにまっていた。また自転車に乗る。いつもの道。だけど明日からいつもではなくなる朝。不思議なかんじ。
たんたんといつものように送り届けた。感慨に浸ると落ち込むからそれでいい。いつもと違うのは、何枚も写真を一緒に撮ったこと。登降園の時間。一生の宝物になるいい時間だった。