長女と次女はスーパーボールで遊んだり、壁にお絵かきしたりで、ぼくより遅れて風呂から上がる。ぼくはナポリタンを仕上げる必要があり、「あがる」と言われたタイミングですぐには拭けにいけない。
「自分で拭いて」というと今日は素直におのおのバスタオルに身体を包んだ。長女は白色、次女は青色。ご機嫌である。
次女が「わたし、ミナミセナ。」と名乗り初める。どうやらお姫様になりきっているようだ。
長女が「一緒にランチ行きましょう。今日は高級ナポリタン。」と続く。
次女が「今日のご飯何?」とぼくに尋ねてきて「ナポリタン」と応えると、それなら良し、という顔になり「行きましょう」と長女に返している。
「わたし、お金持ちなの。お金、マイナスくらいもってるの。お城も世界で一番大きいの。部屋もたくさんあって、お客さん無限人来ても大丈夫よ。」と次女。欲望丸出しである。マイナスの概念には誤解があるようだ。
「わたしのお城は世界で一番小さいの」と長女。「でも中にはいるととっても大きいの」と続ける。彼女は控えめな中に欲望がある。
「お金持ってる?」と次女。
「うん、1円。」
「え。1円しかないの。」
「そうよ。」
「わたし、お金はたくさんもってるけど、お姫様だからお金は使わなくてもなんでも食べられるの。あなた、ナポリタンは500円よ。どうするの。」
「ママが払ってくれるのよ。」
「そうなんだ。行きましょう」
無限にあるなら、おごってあげなよとツッコミを入れたくなるけど、仲睦まじくやってるからそのままにしておいた。
落ち着いたあと、ナポリタンもできたから洗面所にいき、彼女たちのドライヤーで髪を乾かしにいく。
今夜はケンカもなく、テンション高くキャッキャやっている。寝床に行っても、今日は妹と寝るからとパパは「行っていい」とお役御免になった。次女に絵本を呼んであげている。何回も読んだ「もぐらバス」と「ひとりでおつかい」。