クリスマスプレゼントは息子がドラクエ1・2・3の復刻版、長女はハリガリ、次女はキュアアンジュの服であった。ドラクエをするためにwiiを押し入れからひっぱりだして設置しなくちゃいけない。
妻がどうしてもほしいというテレビも大きなモニターのものを買った。10数年ほど前にプラズマテレビを買ったときは1インチ1万円だった頃に比べたら、びっくりするくらい安い。相変わらずテレビ回線はないのでもっぱらamazonビデオになるが、しばらくドラクエに支配されるだろう。一緒に楽しめそうだ。
息子は先に付録のガイドブックを熱心に読んでいる。
ずいぶん嬉しそうな顔をしている。
「おれ、ゲームぜんぜんもってないもん」
近所の友だちが次々Nintendoスイッチやら新しいゲーム機を手に入れるのを横目にみていた息子にとっては待望のゲーム第1号である。
もちろんドラクエを知らない。最初はポケモンのゲームがほしいといっていたが、少しずつドラクエの魅力を伝えていった。スライムはしっている。それがドラクエのものだと知ったり、図書館で借りた空想科学読本で「ルーラ」の呪文について分析しているのを読んで感心をもったようだ。クルスマスイブの前日、サンタさんの手紙を書き直して、「ドラクエかキャプテン翼全巻」とポケモンのゲームを削った。
10歳にもなればサンタさんにも疑いをもってくる。同級生には兄姉がいる友だちもいるだろう。
長女と次女が早々と手紙を書いてツリーの靴下に入れて設置完了したにもかかわらず、「迷うわぁ」といいつづけて、いつまでたっても決めない。
見るに見かねて「早く書かないとサンタさん準備できんぞ」と何気なく警告したら、「サンタさんって、事前に買うの?」とすぐ反応する。
そうか、しないのか。大きな袋には何でも入っているのか。
やばいと思いつつ、のらりくらりやりすごすと友人の名前をあげて、
「そういえば、あいつ、プレゼントもらったあと、家にレシート落ちてたんだって」と笑いながら報告してくる。
「それ以来あいつ、サンタ信じてないんだって。」
こちらが言葉をつぐんでいると、
「サンタも買うんやね」の一言。
同じ話を妻にもしたというから、モヤモヤしているのだろう。
クリスマス・イブの夜、早く寝なきゃとそそくさと布団に入り眠りについた長女と次女。対して息子は布団に入ってもなかなか寝ない。気になって眠れないのだろう。
「サンタって、どんな顔してるのかな。ヒゲはもじゃもじゃで、おじいちゃんで。」などブツブツしゃべっている。
やがて眠気が来たようで、目をこすりながら、横にいるぼくに向かっていうわけでもなく、「サンタの正体は、父ちゃん、ではない。ほんとうにいるんだ」とつぶやいて、しばらくしたら寝息になった。
普段何も買ってくれない父ちゃんが、まさか自分のいったとおりに高いものを買うわけがないし、そんな金があるわけもない。それが、まだサンタを信じる根拠になっているのだろう。