一緒に登校

長女が思いついた。パパは自転車を押しながら、長女と歩いて学校まで行けばいいと。そうすれば長女を学校まで送ってから自転車で家に帰ってこれると。いいアイデアだ。

早速やってみる。7時15分に家を出て山を下る。いい天気だ。いろんなことをまた話してくれる。今日は遠くの山が見えるか、普段はだれと一緒に登下校しているか、バスの中はだれがうるさいか、など。途中で妻に車で坂の下まで送ってもらった息子に追いつかれる。「バイバイ」と走り去っていく。学校に近づくにつれ、小学生の数が増え、数珠つなぎになる。長女だけ父同伴である。はずかしくないのかな。

「パパ、どこまでいけばいい?」

「校門まで」

迷いはない。パパがいていいそうだ。ぼくの方がむしろ照れているようだ。

とはいえ、途中で同じクラスの女の子が長女と一緒に歩いて行くことになった。ぼくはさらに肩身が狭い。

察したのか、彼女も恥ずかしくなったのか。校門の一つ手前の横断歩道で「パパ、もういっていいよ」と言われる。「わかった」と自転車を止め、向きをかえる。長女は横断歩道を渡っていく。そのときにこっちを振り返り、ぼくがみていることに気づき、手をふる。

家に戻り、妻にこの一連を話すと「まだ2年生だもん。パパと一緒ははずかしくないでしょう。むしろ自慢したかったんじゃない。」とのこと。思春期になれば車で送っても他の友だちに父親が見られないように遠くで降ろすことになったりする話を聞いていた分、そんな今はとても貴重である。誘われる間が華である、なるべく一緒にいってあげたい。