秋の音

はなれの引き戸を開いて、外を取り込みながら寝る。スズムシ、キリギリスなど、たくさんの、いろいろな虫の音が聴こえる。秋だ。この音をうるさいと思わず、心地よいと感じるのだから不思議だ。

布団に横になり、網戸の向こうに庭があって、その先には道路がある。この構図は祖父の家の寝室と同じだ。よく添い寝をさせてもらった。祖父がよく昔話をしたり、やってきた法話の話の一部をしてくれたものだ。あの安らぐ時間は当時のぼくにとって救いであった。虫の音に加えて、ラジオも流れていた。落語が多かった記憶がある。