いじん

「偉人って、どんな人か知ってる?」(長女)

学校でこのふるさとが輩出した偉人を調べているのだという。

「えらいひと?」

予想どおりの平凡な答えに、あきれたような笑いを鼻から吐いて、

「みんなそういうんだよね。だけど、ふるさとや世界のためにがんばったひとのことをいうんだよ」

と教えられる。

ひとりひとりこの人はこうしたと教えてくれる。ある人は台湾のダム建設に従事し、台湾の治水を整備した。そこで銅像をつくることになったけど、決して偉そうなものになってほしくないから、いつもどおりの作業服姿のものがつくられたという逸話も。その銅像はほかの日本人銅像と同じく戦時中に破壊される対象になったが、地域の人によってずっと隠されて、落ち着いてから元の場所に戻されたという。一方、偉そうな銅像たちは破壊されてしまったのだろう。

長女が調べているのは三段跳びの名手だそうだ。オリンピックの前日に大火傷を負ったけど強行して出場し、銅メダルに輝いた伝説の持ち主。15メートル以上の記録。実寸が展示されていて面白かったそうだ。

彼女の話し口調は明るく元気でハキハキしていて、目をみてまっすぐ話してくるから、聴いててとても気持ちがいい。