長女と次女がここ数日、お風呂上がりは申し合わせて何かになりきって出てくる。ぼくが先に出てダイニングで待っていると、自分たちで身体を拭いて、コソコソ申し合わせて登場する。昨夜は「温泉上がりの通りすがりの客」で、今日は「小鳥」だった。
温泉客では「いい湯だったわね、あなた」と長女。次女は「そうね」と相づちを打ちながら、ぼくの横を通っていく。呼び止めてもそのまま無視して素通りするという段取りを予めつけてきたようだ。でも笑いがこらえきれる口元が緩んでいる。手を出して行く手を阻むと笑いがこぼれながらイヤがる。ぼくは「知らないオッサン」という存在でないとだめなようだ。なりきっているときは長女は次女を「あなた〜」と呼ぶ。
今夜の小鳥では「ピヨピヨ」しかいわずにこっちに二羽とも寄ってきた。「飛んでるの」だそうだ。「合鴨?」と聞くと次女がすかさず「違う。鳥」と否定。合鴨はうちのメルちゃんで飛ばないことを知っている。
ひとしきりそのなりきりタイムが終わってから、ドライヤーで髪を乾かしてやる。