夏休み最終日

夏休み最終日。前の晩に息子と妻のあいだに一悶着あり、息子は自分で弁当つくることになった。ぼくはひとまず見守ることにする。朝早く起こす。「弁当つくるんだろ」というと朝6時にスパッと起きた。

「おれ、弁当どうすればいい?」

「母ちゃんに謝って作ってもらうか、自分でつくるかどっちかや」

急に表情がくもり、ふてくされ、やさぐれている。これまで弁当作ったことはない。どうしろっていうんだよ、と不満があるのだろう。それでも謝る気はないらしい。意地が出てきた。反抗だって成長だ。

うつむきながら冷蔵庫のところに行って、冷凍庫を開けて、ミートボールの冷凍食品を取り出す。「どうしたらいい」とまた訊くので、裏の説明書を一緒に読んで、レンジでチンさせる。あとは最近マイブームの庭で穫れたキュウリに生ハムを巻いて食べるメニューを作って、おむすびつくればそれなりに整うやろ、と勧めたら少し安心したようだ。

ぼくは出張なのでもう出なくてはいけない。そのあとどうなるか気になるが、じゃあなと先に出る。寂しいのか、ぼくが見えなくなるまで階段の窓から手を振っている。

後日聞けば、ブドウを入れたり、無事に弁当は仕上げていったらしい。夏休みの最後に逆境からのスキルアップ。結構なことだ。