夕焼けと一輪車

夕刻、メルを朝庭に放ちながら、長女の一輪車の練習に付き合う。長女の左前に立ち、バージンロードを歩く父のような腕の形にする。それに長女が左手でつかむ。一輪車を漕ぐ歩調に合わせて、ぼくも動く。動く手摺り。まさにバージンロードを歩くようなペースである。最初の頃は両手で支えてやっとであったが、だいぶバランスを掴めて来ているようだ。

ときどき、雑草の隙間の虫を夢中であさるメルが、我に返ってぼくたちを探す。ピーピー鳴いて少し離れたぼくたちを見つけると近づいてくる。ぼくたちもその声に反応してメルのもとにいく。

「今日、学校で初代メルにそっくりなの、本で見つけたよ。」

図書館にある生き物図鑑にいたらしい。

「今度、生き物について調べて発表するんだ」

「何について調べてるの?」

「メダカ。飼ってたから。」

メダカを食べたのも、そういえば初代メルであった。

その後、メルと散歩したいというので夕庭に移動。夕焼けが今日も実に綺麗であった。

新しい息抜き

息子が勉強の息抜きとかに、自転車で付近を一周しにいくようになった。

「おれ、自転車好きや」

ぐるっと住宅地界隈を一周、30分ほどで返ってくる。山道だし、樹も多いし見晴らしもよいし、サイクリングにはもってこいである。

「父ちゃんも、自転車の時間、好きだわ。何も考えずただ走るの。」

息子が先に走りにいったところ、あとからぼくが追いかけた。言っていたコースを探しながら行くと、住宅地の端の保育園の近くを下ってきているところを発見。そのあと、大学の構内をグルッと回り、大きな公園を一周して家まで帰る。息子が一人で走っているとき何を考えたとか、最近のこととか。家で二人でいるときより、自然と会話が弾む気がした。いい時間である。

堅さ

「ねぇ、骨と石。骨の方がかたい?」

長女が次女に骨の方が堅いと教えていた。燃やしても骨は残るというエピソードから、骨はとても堅いと思ったそうだ。

でも、正確には石にぶつかって骨が折れることもあるから、そのあたりを訂正。

「石って、最強やん」と長女。

すると次女から質問。

「なら鉄と石、どっちが堅い?」

薄い鉄なら石にぶつかったら凹むけど、大きな鉄の玉は石を砕く。そんなことをいう。

「んじゃ、薄〜い石を、大きな鉄で叩いたら鉄が勝つよね、ぜったい。」と次女。

当番

「明日、当番だ。やだなぁ」と長女。寝床で。

聞けば朝の会や授業の開始や終わりの号令をするそうだ。なんでいやなのかは聞かなかったが「大きな声を出せば良い」と励ますとリハーサルのごとく寝床で発生し、妻に「シー」と制されていた。担任の先生とたくさんおしゃべりをしているそうだ。授業中の当て方がフェイントを交えたり面白いらしく説明してくれる。

今夜も背骨のあたりを「ツボツボ」して、ふくらはぎや足をマッサージしていたらやがて寝た。

住む場所

「ねえ、大きくなっても、親と一緒に住んでいいの?」(次女)

お風呂で。「大人になったら、この家を出ていかなきゃいけないの、寂しそうだな」と想像していた。「パパとママの方が、さみしいよね」と言ったあとの質問。

「もちろん、一緒に住んでもいいよ」というと「そうする」と即答。

でもしばらく考えて「やっぱり、近くに住む。できたら隣」とのこと。

「絵を描いて、つくってもらう」

自分の好きな家を建てたいようだ。

「木のテーブルにするんだ」

 

おとな

「ねえ、どうして大人って、大きくなるの?」(次女)

お風呂で。歯を磨いてあげながら。

長女がメルが測ると190gあったとビックリしたという話の流れのなかで。

ぼくが20歳で大きくなるのは止まったというとびっくりしていた。20歳でそんなに大きかったのかと。

次女は大きくなったらキャビンアテンダントになりたいのは続いているが、人魚にもなりたいそうだ。

「アリエルみたいに?それともアースラ?」とぼくがいうと「アースラじゃない」と笑う。リトルマーメイドはフランダーが好きだとぼくがいうと、長女も「私も」という。次女は「フレンダー?」とピンと来ていなかったが、長女が説明したら「あああれか」と分かったようす。

次女とぼくが先にお風呂を上がっても、長女はずっとしばらく太ももの上にメルを乗せてかわいがっていた。

好きな分野

「父ちゃん、分野なにがすき?」(息子)

理科の分野のことであった。「物理」と答えたら、「おれ、化学好きや」とのこと。理科の実験が好きらしい。

「家に実験室あったらいいのに。」

炎の炎色実験をもっぱらやってみたいそうだ。