クマンバチ

息子がテニス教室しばらく休みでウズウズしているので、以前買っておいたボールがゴムに繋がれて自分のところに返ってくる自主練習のあの道具を持ち出して、道路でやりはじめた。最初はたどたどしかったが、だんだん一人で続けられるようになってきた。次女がとなりで小さなラケットを持ちながらみて、あわよくば自分もやってみるタイミングを狙っている。息子が休憩したときに「わたしもやってみたい」と見様見真似をやるが、さすがに当てることもできない。ぼくは一連のこの流れを2階のテラスから見下ろしている。

「ラケットの上でポンポンやるところからだね」とアドバイスする。息子が手本を見せてくれている。ところがゴムがついているのでやりずらく、次女は諦めて別のことをしはじめた。

息子のやろうとするそばにはクマンバチが数匹常時旋回している。自分がテニスボールで狙われたと勘違いするのか、息子にことあるごとに近づく。気が気でない。

「集中できん」

殺虫スプレーを家から持ってきて狙うがまったく届かず。仕方がないのでぼくも下に折りて、ガレージの倉庫から虫あみを出して渡すと、ほどなくして息子が早速1匹を捉えた。ぼくが踏み潰す。網から出して死骸を出そうとする。息子が「ごめんなぁ」と謝っている。たしかに。クマンバチにとっては災難である。人間にとって都合のわるい虫でも、自然と相手の心境になれるところはぼくも見習わねばならない。

その後、快適に打ち返しができるようになっていた。