雪ともみじ

雪が降ると中庭の紅葉が重たそうに枝を垂らしている。ブラインドを開けた長女が「かわいそう」というので雪を落としてやると軽くなった枝は立ち上がるように元の位置に戻る。

やれば反応がある。言葉なないが、コミュニケーションしている気になってくる。

和室からそれをみていた長女と次女がほっとした様子だ。

ついでに「メダカにもエサやっといて」と長女。

動植物を慮る気持ち、大事にしてほしい。

仕込み

今夜の夕食は昨日かった北海道のタラを麹につけて焼いたもの、同じくきゅうりと大根の麹の浅漬け、あさりのスープ。どれも、昨晩から仕込んでおいたもの。さらに砂肝と玉ねぎのバター醤油炒め。魚介が主の一日。

麹は初めてつかった。どれもほどよく美味しく好評なのでレギュラー選手にしたい。きゅうりは六本分がペロリと消えた。「このお魚好き」と長女。

砂肝は息子が何度もお代わりして「もうないの?」と物足りなさそうだった。いつもはそこまで食べないのに気に入ったか。今度から二パック買おう。

「この固いの、何の肉?」

「鳥の砂肝」

「ああ、あれね」

あさりのスープにはのこっていた煮干しも出しに使ったら、「あさりのダシを感じなくなった」と妻。息子は「しょっぱ、むり」と残した。ぼくとしてはあっさりラーメンのダシといってもいいくらいの出来だとおもったんだけどな。たしかに後から喉が乾く。

明日はミンチの肉でなんかする予定。

今日の質問

「ねぇなんで、鉄砲で打たれたら人は死ぬの?」

「ねぇなんで、水はつかめないの?」

「氷はなんで温かいところで融けるの?」

「ねぇ影ってなんでできるの?」

どれもお風呂での次女からの質問。

昨日保育園の池の表面が凍っていて、その氷をパパと息子にみせたいと家まで持って帰ってきた。一度帰りの車の中で溶けてしまってぐずったので、家に帰ってきてから「ちょっとまた保育園行ってくる」と妻ともう一回とってきたもの。

まだ冷凍庫で健在。

秘密の特訓

長女と次女の発表会の前日。

家族みんなインフルをなんとか回避できていた。あと1日。大事をとって二人の保育園を休ませて家で3人で過ごすことにした。午前中は絵を描いたりのんびり過ごた。だんだん外に行きたくウズウズしてきたようで「散歩いきたい」と言い出す。たしかに珍しくいい天気である。

ランチの時間だけど、「食べなくていい」というのでおでかけ。

二人それぞれが自転車にまたがり近くの公園までいくことに。次女は補助輪つき。まだ漕ぎ始めがうまくできず、進み始めないと泣きそうになるので、少しペダルを逆に戻して、水平にしてから漕いだら楽だよと教えてあげる。進むときもあれば、それでも進まないことがある。そうなったら先を走る長女が戻ってきて次女の背中を押してやる。実に甲斐甲斐しい。しっかりしたお姉ちゃんに目を細める。

ぼくも次女がスタックしているとき、近くまでいって背中を押すこともあって、ぼくも自転車にのっていて、手が届いて押す位置が肩くらいになる。そうなると重心に対して高いところを押されるものだから、どうもバランスが悪く、次女転ぶ。

「パパが押したせいで転んだやんか」と泣きそうになる。

自転車起こして次女に謝る。

でもこの1回だけでなくて、あとでもう1回同じように転ばせてしまう。おまけに指まで踏んでしまう。 

「パパに2度転ばされた」と恨み節を口にする。

「わざとじゃないのだけど、ごめんね」

「知ってるよ」

 

公園についたら二人はブランコ。次女を右手で、長女を左手で押す。広い公園のわりにさすが平日の昼間、だれもいない。普段、思いっきり大きな声ってなかなか出す機会なんてないので、これはいい機会だと、

「明日の発表会、大きな声を出すんだぞ。いま思いっきり声、だしてみな」とゆらゆら円を描いている二人にいってみる。

素直に二人は大きな口をあけて「ワアー」っと絶叫しはじめる。

子どもの声とは半径100mくらいにはゆうに届くだろうという声。だれもいないとはいえ、大丈夫かなと心配になるけど、「もっと大きく」と挑発する。とても気持ちよさそうだから。

特に次女には羞恥心もないから、大きな声でハラハラするくらい続ける。

「よしこれで、明日はバッチリだな」

ブランコを降りると今度は鉄棒にいって、長女の逆上がりをみてまだやれない次女は長女に背中を支えてもらっている。

そのあと滑り台を次女を前に二人セットですべり、自転車に戻って公園の中を一周する。途中でどんぐりがたくさん落ちているところで停車して、ポケットにせっせと入れる。

公園の道もゆるやかな坂になっている。次女は上り坂はなかなかまだ登りきれなくて途中でへばって「もういい。抱っこ」といいかけたけど、「最後、お家までちゃんと乗るよ」と励まして、背中を押しつつ進む。

家までの帰り道は長女が先にどんどん進み、見えなくなってしまった。帰りもやはり上り坂なので次女を押しながら進むものの、最後までまたがってなんとか家まで到着。

ふたりともが自転車でこうしてツーリング行けたのは初めてのことだ。

家につくと小腹が空いたようなので食べさせて、長女を公文に送り、その足で長男を学校まで迎えにいって、長男を家に届けて宿題をさせる。長男はこのあとスキー合宿にでかけるから、それまでの1時間で宿題を終わらせなきゃいけない。

そのすきにぼくは夕食の準備をはじめる。その日は街にいってぼくもシンポジウムを観に行くから妻が帰ってくるまでの間に夕食をつくらなくてはいけない。うどんにするのは決まっていたけど単なるうどんじゃつまらないから、鳥のあんかけを作ることにする。

あっという間に長女公文のお迎えの時間になって、再び家に帰ると息子の宿題も大詰めであった。まだ制服なので着替えさせて、ぼくはあんかけを仕上げていると、妻が帰ってきた。

「早くいくよ」

子どもたち三人を載せて、息子をスキー合宿に送っていった。

ぼくはバス停にむかう。

最後慌ただしかったけど、長女と次女とたっぷり時間を過ごせたし、家事もこなした上で外出できるし、充実した一日であった。あんかけ、好評だったし。

新しい遊び

お風呂で。長女と次女と湯船に入る。ぼくが口をあけて、そこにコップで二人がお湯を口にいれる。大きく息を吸ってクジラの潮吹きようにプーっと吐き出すと大喜びする。飽きずに何回も繰り返したり、「今度はわたしが」と長女がやったり。よけたり、時々かかったり。新しい遊びを発見してしまった。

大丈夫だとわかっている範囲での、ほどほどなスリルが子どもって好きなんだな。

そいえば一人でトイレとか和室とかに行かないな。いつも「一緒にいこ」と誘ってくる。一人ではなく一緒に、というのも大事なのだろう。

なんだかんだ

息子にはあまりほしいものは買ってあげれていないけど、ここ数日「iPadのタッチペンほしい」というので、ヤマダ電機に買いに行くことにした。なんかやわらかければいいんじゃね、と家にある鉛筆の反対側の消しゴムとかでやってみたけど反応しないから、やむなく買いに行く。Appleの純正は1万円もするのだね。安売りの汎用品、880円のものを買う。この差はなんなのだろう。

昨夜長女の絵画に受賞賞品のいよかんを食べているとき「りんご食いたい」ともボソッといっていたっけ。今日は買いに行けなかったが、買ってあげたくなる。なんだかんだ、かわいい存在なので甘いのである。

公文のポイントが溜まっていて、Gショックがほしいと申し込んだ。「早くこないかな、むっちゃ楽しみや」と胸を踊らせている。パンフレットの1枚の写真だけで選んでいたが、ワクワクさせるものがあの時計にはあるらしい。

思ったまんま

4歳の次女が何がかわいいかといえば、「思ったことはそのままストレートに出る」ということ。6歳の長女はそのあたり、だいぶ空気を読んで気を使うようになった。お世辞はいわないが、遠慮や我慢をして言葉を飲み込んでいることはしばしばあるだろう。

一方の次女は喜怒哀楽がそのまま出てくるから、産地直送のリアクションというかんじで瑞々しさがある。こうなれたら、どれだけ爽快だろう。うらやましい。

末っ子だからか、この年令だからか、次女のよくばりをよく目にする。長女があるおもちゃで遊びたいというと、すぐに「かして」と取り上げる。みかんをむいて、半分にして長女と分けてねというと、どちらが大きいか見極めて小さい方をあげる。長女はよく割をくう。しょげる長女に「おねえちゃん、よく我慢してるね」と褒めると、次女の視線を感じてみるとうらめしそうに睨んでいて「わたしも褒めてほしい」とせがむ。

でもこんなこともあった。朝、持ち合わせがなかった妻が「お金ない?」とおでかけ際に聞いて「もちろん、ないよ」とぼくがいうと、横から次女が「じゃ、わたしのあげる」と自分の財布をママにあげていた。妻がほしかった1万円は当然入っていないのだけど、その気前の良い申し出、頼もしい限りだった。よくばりで我が強いときも多いけど、こういういざというときに太っ腹で優しいところをみせられるのならいいではないかと見直した。ただお金のありがたみを分かってないだけな気もするけど。

ちなみに1万円は息子の財布から借りていた。そしてぼくは次女に3千円いま借りている。「いいよ」といいそうだけど、ちゃんと返さねば。