「昔、東京での生活のとき、水買ってたんだよ。水道の水、飲めなかったんだ。」とぼく。
「なんで?」と次女。いかにも不思議そうだ。次女は東京で暮らしたことがない。
「おいしくないから。」
息子はよく覚えていて、玄関に定期的に届くアクアクララの大きな青色の容器が家につみあがった風景を語る。ほかにも東京の家の寝ているところとか、置き畳とか、細かなところまで記憶しているようだ。
息子が「はじめてルンバみたとき、怖かったてたよね、おれ」と他人事のようにいう。
「なんで?」とまた次女。
「おかけてくるようにみえたんじゃない。」と妻。
「寝るとこの段差あったやろ、あれに上がってみてたのおぼえとる。」
長女はあの頃、まだ赤ちゃんであった。お泊り保育でいない。