デビュー

息子と長女は新聞の四コマ漫画を読むのが習慣になっている。

朝ごはんのとき、おならの話で盛り上がるので、長女に「四コマ、描いてみたら?」と進めたら書き始めた。ぼくが職場でおならをしたくなり、トイレの個室に駆け込んでおならしたら風圧で天井に頭をぶつけ、トイレに入っていた他の人にバレてしまうというような話。コマによって上から見たり横から見たり、視線を変えていて、躍動感があってそれらしくなっている。

でも一コマのサイズが小さいので大きなサイズでもう一回描いたら?といったら描き直しはじめた。

出発する時間になった。妻が「もういくよ」というとふてくされている。

仕方なく次女と妻が先に出発。ぼくが長女を送ることになった。

集中して、最後まで描きたかったのだろう。

できてみたら7コマ漫画になった。どうせなので色まで塗らせる。

うれしそうにカバンの中に入れる。先生や友だちにみせる、それを意図していたのだろう。だからママから言われてもやめなかったのか。

保育園につくと、マスクやらお手拭きタオルやらを忘れてきたことに気づく。

「とってくるね」と長女を置いて家に一度帰る。

忘れ物を届けたら、長女の友だちがその漫画の紙をもっていて、「ねぇ、会社でうんこみたいなのして、みんなに『臭い?』っていわれたの?」と聞かれる。

「そうだよ」と応えたら「ええ〜!」っと声をあげてゲラゲラ笑い出す。長女も一緒にうれしそうだ。

友だちや先生に読ませて笑ってもらって、楽しいのだろう。

家から帰ってきても、満足そうであった。

人を自分のつくったもので喜ばせる、その快感はいつまでも大事にしてほしい。

ただ、ぼくの話はどこまで伝わっているのだろう。子どもは親になんでもいうから、インフルのように広まっているのかもしれない。