歩いて登園

久しぶりに朝きれいな青空がみえたので、長女と次女に「保育園まで、歩いていきたい?」と聞いたら「うん」と口を揃える。

「時計の長い針が6のところまでに用意して、でなきゃいけないよ。できるかな」

「わかった。」

おむすびをどんどん口に運ぶ。長女がまだパジャマの次女に「早く着替えんなんよ」と急かす。次女はそれでも「もう一個食べる」と食欲旺盛。

先週は、ゆっくり食べたせいで歩いていきたいのに、結局車で行く羽目になり、泣いた次女。その反省から時間を意識したいと思ったのか、今日は着替えも用意もスムーズに進んで、無事に歩いて出発できた。

いつもの大きな階段を登る近道でいくと思い込んでいたけど、長女が「小さな階段降りて、右に曲がって、大きな木が並んでいる道からいきたい」とリクエスト。いつも車で行く道だ。どんどん葉っぱが黄色に色づいてきていて綺麗だからなのだという。

随分遠回りになるし、時間もかかるけど、この並木道はこの季節が一番見頃だし、何より長女はもう半年で保育園から卒業してしまう。園児としては最後の紅葉の季節。3人で一緒に登園できるチャンスも限られてきている。時間がかかっても、そっちの道で行くべきだとぼくも判断。

長女は足取り軽く、どんどん先へ進んで、ぼくと次女のの20mくらい前を行く。次女には長い距離だったようで、途中で「もうつかれた」というから抱っこしてあげる。そういえば病み上がりであった。抱っこしながら長女を追いかけるけど、ぜんぜん追いつかない。交差点ではきちんと止まり、車が来ないかをみている。危なげない。

この様子なら、春から小学生になっても大丈夫かな。頼もしいけど、少しさみしい。

途中で黄色い花が咲いていて、その花を摘んでいるときに追いついた。耳元にもっていって、髪飾りにする。顔がほころんでいる。それを見て次女がすかさず「私も」とダダをこねる。次女の分も摘んでいたら開園時間に間に合わない。ぼくの歩きたい、進みたいという空気を察したのか、長女が自分の分を次女に「はい」と渡して、次女の「ありがと」を聞くのもまたず、また先にスタスタ進みだした。長女の背中をみながら、ずいぶんしっかり屋さんになったものだと目を細める。

遠回りしても綺麗な道のほうがいい。素敵な選択の仕方だと思う。この並木道が、この子たちにとって小さな頃の原風景となって記憶に残ってくれたらいいな。この道がなかったら、ここには引っ越して来ていない、そのくらいぼくも好きだ。紅葉はまだまだこれから。来週はさらに黄色くなっているだろう。