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ニューシネマパラダイス

次女が回復して保育園復活したので、長男が学童から帰ってきたら二人だけになる。家にずっといたから、外へいきたい。つれ回すぞ今日は。

ランチ、何食べたいか聞くと、ハンバーグというのでビッグボーイ。はりきって大人のリッチなほうのランチセット頼む。案の定食べきれず。このあと、チケットもらってたし、プラネタリウムいこっか、ということで、庭の木たちに水やりしてから、こども館。さすが虫の館やらでっかい磁石やらデジタル地球儀やらトランポリンやら子どもの好きそうなものばかり。外には竹馬コーナー。手で支えながらやらせる。飛び石があって、石じゃないところに足がついたら負け、とルールを決めて、あーくそ、落ちた~、最初から、とやっている。でっかいプラレールは数年前は釘付けだったけど、いまは興味薄。小学校の同級生にあう。

プラネタリウムは太陽系や今日の夜の星空を解説。天王星海王星って、意外にでかいのね。やさしいおじさんの生ナレーションがアルファー波出してて、寝てしまう。長男は起きてたもよう。

 

そのあとサッカー教室で長男を落として、保育園に長女次女を迎えに。彼女たちを連れてサッカーみにいく。長男の保育園児のママ友とあう。長女次女は砂遊びと岩場歩き。ゲームで一ゴールだけ決めた。

妻が合流、みんなで丸亀製麺にいく。長女はうどんが好きでリクエスト。長男は嫌いでごねる。でも、昼は好きなハンバーグいったし、たまには妹のリクエストも叶えてやろうよ、お兄ちゃんと説得。長男はうどんを頼まず、天ぷらを載せるためのごはん130円を頼む。そんなメニューあるのか。載せた天ぷらはカボチャとさつまいも。えびとか載せてもいいんだぞ、というけどいらん、という。安上がりな子どもたち、涙でるね。ぼくもトッピングはイカ天だけにして、そのかわりネギをこれでもかというくらい盛る。

 

これからぼくと長男は街中の星空シネマとかいうイベントに行く。夜空の下でニューシネマパラダイスが見られるらしい。この映画は子どもにもぜひ見せたい。しかも無料ときたもんだ。でもPG12らしい。意外。妻は大丈夫か心配のようす。字幕やけどまぁ読めるやろ。

街中まで車で乗せてもらう。今夜は空にほっそいほっそい三日月。妻が気づいて細いね、というと、長男「あれくらいのやつを、三日月というんだ」と今日プラネタリウムで聞いたことを早速受け売り。

会場で落としてもらう。帰りはバスでかえることにする。

街中の芝生広場。素敵なイベントにもかかわらず、人はまばら。パイプ席ゾーン100席くらい、あとは芝生からみる。一番前の椅子に座る。主人公の子どものトトは今の長男と同じくらいかと思ったけど、小5らしい。

椅子で足が痺れたというので、一番後ろの芝生に移動。芝生ゾーンも人が増えてる。字幕が見えないと、ぼくが座った上に肩車。重い。数分でごめん降りて、というと、エー、とクレーム。別の位置へ移動。

 

それにしてもなんて美しい映画なんでしょうこれ。どんな映画?と聞かれて、説明しても、あまり興味を引く説明ができない。そんな映画のほうがむしろ、ぼくは好きだ。

この映画の場合、舞台は第二次世界大戦のイタリア。戦争で父を失った少年トトが映画館に通い、映写室のおじさんアルフレードと仲良くなる。映画館は当時のみんなの唯一の娯楽。母親に止められても映画館に通いつめ、映画と映画館に魅せられる。やがて映写も出来るようになり、アルフレードの後継も務められるようになるが、アルフレードはこの仕事にトトがつくのは反対。青年になってお嬢様に恋をして、カメラで盗撮してフィルムを家で上映してうっとりして、告白して、毎日家の外で待って、という時代が時代ならギリギリ、っていうかアウトですそれ、なアプローチする。それが実るけど、やがて都会に彼女がいって悲しいお別れ。アルフレードからおまえは街を出ろ、都会に行って仕事しろ、この街にはもう帰ってくるなと心を鬼にして勧められ、出る。大人になって、アルフレードが亡くなった、と知らせが入って、久しぶりに街にかえる。そこでトトがみたものとは!

 

まとめ方が下手くそなのもあるけど、「地球最後の日」でもなく「史上初」でもなく、「未知と遭遇」でもなく、ドンパチもない。インパクトに欠ける。事件といったら火事くらい。

企画書よく通ったなぁと思うわけです。その段階で偉い大人から「インパクトに欠けるなぁ、インパクトが」なんて言われて、となりの太鼓持ち部下が「それでは、どうでしょう、トトは実は未来から来た宇宙人で、人類を滅亡を計画してるとか?」といいだし、「それだねぇ」なんてならなくて、ほんとよかった。

インパクト系は、極端なこというと、観なくても、説明されたら、だいぶわかった気になれる。観なくても、観た友達とそこそこ話できる。でもニューシネマパラダイス系は、観ないと、よさをわかることができない。ただただ日常のささやかな人間らしい機微が淡々と描かれている。ほんとにこんなおっさんと子どもがいる気がしてくる。すごいなぁ、作ったとき監督33歳だって。

そんな感動をよそに、長男はもぞもぞ、落ち着かなくなってきた。さては眠たくなってきたな。あちこちつれ回したからしかたないか。あぐらに横にして寝させる。そのあいだにキスシーン。PG12ってこれかな。

 

長男起きる。また一番前にいくと言い出す。足しびれるんだろ?というと、しびれたらまた戻ると。父ちゃんその横に座ると後ろの人が迷惑だから、独りでいってこいという。わかったとひとりいく。前方映画好きそうな大人たちに一人サッカーのユニフォーム来た少年が混ざっている。

最後のシーン。伏線がわかってないと、かみしめられないだろうから、解説してやる。

どうやった?と聞くと、アップのシーンで、「あの人たちって、口の前にある字幕、よく噛まないね」という。すげーな子どもって。この名作にしてそんなとこかよ

質問かえて、どんな映画やった?にする。んーと、と考えて「トトと~、アルフレードが~、映画を作る話」。ん?なんかちょっと違う、ような気がするけど、言われてみたら、そうかも。

 

バス停にいく。終バスが、20分前に出てしまい、もうない。終バスって21時6分って。その時間に終バスなので帰りまーす、ってなっても、世の男たちよ落ち込むな、ほんとうだ。仕方なく、あるなかで最寄りの路線にする。バス降りて30分は登り道歩かなくちゃなぁ。妻に迎えにきてもらおう、あ、携帯電話、電池がない。万事休す。バスでこの子が寝たら、まじやばい。こいつ担ぐ体力もうないよ。頼むから寝ないでという。

 

バスがくる。混んでる。酔っぱらい大学生多い。立つ。長男はぼくの右足の上に座る。これだと寝れないな、まぁそれはそれでよし。優先席のおばあちゃんが、前の優先席にすわってひたすらライン的なものをしてた若いねぇちゃんをポンポンとたたいて、この子を座らせてやれ、といってくれる。ねえちゃん、気づかずごめんなさい、と立ってくれる。断るわけにもいかず、ぼくがかといって座るわけにもいかず、ありがたく長男座らせてもらう。

長男、やがて案の定「寝てもいい?」か聞いてくる。その瞼に鉛でも入ってんのか。いいけど、バス停ついたら起こすよ、という。うん、といって、寝る。

バス停つく。奇遇にも、バスの中は優先席のおばあちゃんとぼくらだけになった。

起こしてみる。泥というか、石というか、全く起きる気配なし。おばあちゃんが「ねちゃったねー、もうむりでしょ、だっこしてあげないと」という。従う。

バス代530円。街中の駐車場代をケチるためにバスにしたけど、そんなに代わらんかったかも。しかも、ここから登山の苦行がまっておる。バスを降りて、おばあちゃんにもう一度お礼をいい、別れる。

 

覚悟決めて抱っこする。丘の上の家まで、ひたすら、登り坂。長男は20kg。重い。

抱っこはすぐに力尽きる。おんぶにしよ、と降ろして立てる。足がぐにゃ。立たない。「もう~、はやくいえ帰りたいよー」とごねる。かえっとるわ!

おんぶする。首につかまれというけど、力が入らないのか、つかまらない。自然と落とさないように腰を前に折り、地面のアスファルトしか見えなくなる。直角野郎ですわたし。まだ十分の一も来ていない。この態勢では、間違いなく到達は無理だ。

お~いと起こして首に捕まらせて、腰を上げて、少し進む。そしたら今度は、足を伸ばしたいという。足をピーンとする、ずり落ちる。首しまる。おい、テメーこらっ!その足で、おんぶできるか。車が何台も横を通り過ぎていく。知り合い通ってくれんかな。

 

筋力限界。もうだめだ、今日ここに泊まるか、というと、それはイヤだという。んじゃ、ガンバロウ。となって、再びおんぶ。進む。「タケコプターあったらなぁ」と背中でつぶやいている。

 

死ぬほどつらいけど、重くなったということは、それだけ成長したということだ。頼もしく、うれしいことじゃないか。

そして、もう抱っこやらおんぶして、といわなくなる日も遠くないのだろう。父ちゃんが一番の遊び相手で、こんなに付き合ってくれることもやがてなくなる。

 

街から遠ざかり、星も見えてきた。今日プラネタリウムで教えてもらった星、あるかな。

エネルギーはもう残ってもないけど、ド根性ってやつです、もうここまできたら。オーバーヒート。最後阿修羅のような顔になってただろうな。引きずるように、ほうほうの体で、ようやく家に着く。こんなに遠かったんだな我が家。

妻も心配してたようで、「バスの時刻表くらい最初にみとけ」とお叱りをうける。ごもっとも。でもあの素敵な最後のシーンを見る前に切り上げることはできないもんなぁ。たとえ阿修羅になっても。でも、ベストは自転車やったね、前に子ども乗せるやつ。映画のシーンでトトとアルフレードがやってる。あれ、やりながら帰れればよかった。

 

そんな花金。毎週飲み会を楽しんでいた日々はもう過去。バス代だけでここまで楽しめるんだから、安上がりな生活になったもんだ。子どもとも思い出できるし。

でも、このオーバーヒートの代償は高くついた。翌日、熱が出る。