親を超えた日

テニス、図書館の帰りに友人の工房の内覧会へ行き、そのあとやっと、16時ころに息子と食事。図書館で妻娘たちと待ち合わせて、一台車を駐めさせてもらったまま工房へ行き、その一台で家に帰ってから、車を放置してきたことに気づく。出戻り。それもあって腹ぺこであった。

すき家に入る。

牛丼のサイズを迷っていたが、父ちゃんが余ったら食べることを確認して大盛りを注文。ぼくはねぎ玉の中盛り。そのあとバスケがあるから。

息子、むしゃむしゃたいらげる。初めてである。ぼくよりも食べるのも。

「並盛だと、足りんかったかもな」

ちなみにぼくが先に食べ終わり、トイレに行ってもどると、辛そうに下をむき、手で口を覆ってモグモグしていた。

ぼくが席に着くと、やがて飲み込んで顔をあげる。心配になって声をかけると「つまりそうやった」とのこと。そこまで深刻ではないが、一人で俯いて迷惑かけないように、手で口を押さえ、我慢しているような姿が妙に愛らしく、ふだん叱ってばかりだけど、やはりこいつは大事な一人息子だなと、なんかしみじみする。別に吐いても父ちゃんが全部なんとかしてやるのに。一人でがんばってるようにみえた。

この話を家に帰ってきて妻にしたら、「あんたが目を離すとなんかおこるよね。ほら前も。プールで」と蒸し返される。

次女が生まれたとき、息子と長女を連れて3人だけでホテルに一泊二日旅行をしたとき。ホテルのプールで遊んでいると、当時まだ2歳の長女のおむつからウンチがはみ出てることを発見、大慌てでトイレにかけこんでいる隙に、息子は大きなイルカの浮き輪にまたがっていて、大丈夫かとおもったら、トイレの間にひっくり返ってプールに投げ出され、まだ泳いだこともなく、1人バシャバシャ溺れてもがいてなんとか壁に辿り着き、よじ登り、事なきを得ていたという事件。ホテルのプールだから監視員もいなくて、周りの大人も少なく気づいてくれずあれは本当に危なくてとても反省した。いまでも冷や汗がでる。

「目を離さないでね」と妻。

 

車で流れていた幼児向けの公文のCMをみて「かわいい」とつぶやく。

「おまえもこの頃、あったんだぞ」

この頃を思い返すと、一つの思い出が蘇る。

寝る前に、ぼくが「テイクオフ」と10からカウントダウンして、ゼロになると「発射」と彼の体を浮かせる「ひこうき」の遊びだ。

「テイクオフ、おぼえてるか?」

「あ、おぼえとる、おぼえとる。」

意外にもしっかりおぼえててくれて、先日それを今友人の小さな息子にしてあげたそうだ。

 

牛丼をほうばってる頼もしい姿をみながら、小さな子に優しいこいつは、いつか子どもをもてたら当たり前のように、ぼくがこいつにしたようにたっぷり時間を過ごし、いろいろ遊び、愛情を注いでくれるかな。

子どもが可愛くていかたなかったら、きっとしたくなるだろうな。ぼくの真似をしなくていい。でも、男が積極的に育児と家事をすることになんの違和感ももたず、奥さんと一緒に子どもと家庭を大事にしてくれたら、とても嬉しい。