「海に囲まれていたら、なんで戦争少ないの?」(長女)
お風呂で。娘たちと戦争はなんで起こるかという話になる。ナイチンゲールは彼女たちもしっている。彼女が活躍したのはクリミア戦争。現代も戦火は続く。
「ずっとやってるって、戦争すきなの?」と長女。
「昔は船で世界を移動していたでしょう。車も飛行機もない時代。クリミア半島の形しってる?欲しくなったんだろうなぁ。ヨーロッパは、国と国の間に線が引いてない。だから戦争になる」
「引けばいいじゃん。女王様とか大統領が」
戦争を避けるための初歩的な知恵を出す。
「それぞれの国にいるんだよ」
我が家ととなりのお家に線がなかったら、植木鉢をおいたりしたり、ややこしい話になることで例える。そして、その家と家の間に金とかダイヤモンドがもしも出たら。
「自分のものです、っていいたいでしょ?」
うんうんとうなずく次女。
「だから戦争になるのよ。どっちも自分のものにしてお金儲けしたいとなったら」
「はんぶんこすればいい」
次女の提案。そう交渉による解決の道があることは子どもでもわかるのだ。
「日本は戦争、ないの?」
あった。おじいちゃんは中国大陸に戦争にいっていた。
「でも、海で囲われていたから、少ない。だって海からこっちはうち、そっちはおたくっていえば、『うんうん』ってなるでしょ」
うなずく二人。
とはいえ、もちろんそんなに話は単純でもない。沖縄は本土に帰って50周年だという。香港、台湾のこと、北方領土もある。だから一応ふれておく。
おじいちゃんの戦争の話になったので、すでに言っていた逸話を話す。長女が忘れていたのでもう一度。
おじいちゃんは徴兵された。徴兵は避けられなかった。おばあちゃんや娘とも今生の別れかもしれいとおもって、家を出た。行き先は大陸。陸軍の一番下っ端である。その戦地から帰ってきたか理由が、実におじいちゃんらしい、あるいは、福耳のおばあちゃんらしいのだ。下っ端でも持っているカードを切るタイミングが、最高のときに偶然訪れた。もちろん、そこに祖父の意志はない。でも、そのおかげでぼくが、我が子たちが生まれた。
これからもお墓に手を合わせよう。きっと気をつけていれば、守ってくれる。一昨年、妻が熊に遭遇したとき、妻も無傷だったことに加え、次女はたまたま妻をいつものようにおいかけず、たまたまそのときだけ車の中にいた。あの危機回避も、祖父母の守護のおかげだとおもっている。我が家系としては代々語りついでいってもらいたい。