犬と鴨

長女がこっそりヒソヒソ声でママと二人でデパートのペットコーナーにいったことを話してくれる。次女に聞かれたら「ずるい」といわれるからだろう。ミニチュアダックスフンドがすごく可愛かったそうだ。

「でも29万円もしたんだよ。高い!」

そこからメルの思い出ばなしになる。メルがカエルを食べたときのエピソードや公園に一緒に連れていってペタペタ寄り道しながら帰ってきた思い出話に花が咲く。カエルは2匹まで食べて、3匹目は吐き出した。歩く仕草を思い出してニコニコ顔になる。

「かわいかったぁ」

まだまだメルは彼女の中で生きている。

「犬と鴨って、一緒に仲良くできるのかな」とぼく。

黒い大きな犬に追いかけられてみんな危機一髪だったことがある。

「むずかしいね。」

赤ちゃんの頃から一緒だったらどうなのだろう。

でも、中庭をみるとメルを思い出してまだ悲しくもなる。今日仕事帰りに川でたくさんの野鴨をみてしばらく愛くるしい仕草に見とれた。やっぱり鴨は複数でいるのが自然なのだな。

保育園の鴨は園児の川遊びでついてきて、川に入って首をつっこんで魚を食べていたそうだ。川からちゃんと戻ってくるらしい。グワッグワの声が恋しい。

「パパのママ、優しかった?会いたい。犬のマリリンにも、会いたい。パパパパにも会いたい。好きなもの買ってくれるから。」