親子PK対決

息子のサッカー教室のイベントで、『親子PK対決』なるものに出場した。8組の親子が総当りで対決する。やる気はあるものの、ほかのパパさんはサッカーのスニーカーもキーパーのためのグローブもお持ちで、格好がもう「かつて/いまもサッカーしてました/してます」のが出ている。ぼくはパーカーにトレパンというパジャマ同様の格好で、ランニングスニーカーで素手である。息子も「だめだこりゃ」と思ったに違いないが、遠慮してそれは口にしない。楽しみにしていただろうけど、最初の総当りのとき、ぼくが蹴ったボールは枠から大きくはずれるし、キーパーしても1本も止められない。息子も普段やらないから馴れておらず、外すし止められない。あっさり最初の総当りで唯一の全敗コンビになってしまった。彼のシュートが相手のパパに止められ、今度は相手の子どもが蹴り、ぼくがキーパーをするくだり。

「とめてや」と小さな声で笑いながらぼくのところによってくる。

父としてはなんとかしてやりたいが、叶わずゴールを決められて息子のところにもどる。何も言わない。「全部負けた」とはボゾっというものの、彼の優しさを感じる。

負けても取り乱さない。でももともとは負けず嫌いだから悔しそうである。

ぼくのシュートは最初は「ホームラン」と司会の方からいわれたので弱めたら今度はゴールポストで、もっと緩めたら枠のなかにいったものの、簡単に止められてしまった。

総当たりの次は順位決定トーナメントということで、もう一試合あるという。一時休憩。気を取り直す。隣でリズムトレーニングに参加する妻と娘たちも到着。

息子は一番最初の試合の対戦相手の親子とすっかり打ち解けあっている。そのパパをキーパーにしてひたすらシュートをさせてもらっている。その姿をみてぼくもいささか責任を感じて付け焼き刃のキーパー練習をやる。

順位決定トーナメント。3位・4位決定の第一試合であった。

なんと息子は全部シュートをきれいにコーナーに決めて、ぼくも1本シュートを止めて、1本シュートを入れて勝ってしまった。次の試合は惜しくもまけたものの、ストレートに負けたわけではなく、逆転負けを喫したので善戦した方だ。どういうことかわからないけど、4位になった。前に出て賞品を受取る。

「なんか、おれら親子ぜったい最下位やとおもうんだけどな」とぼくが息子にいうと「うん、そうやね」とうなずく。「まあ、要所で勝てたということだな」と満足する。

ほんとうに惨敗で父ちゃん使い物にならないまま帰るはめにならなくてよかった。

「父ちゃんも、最後うまくなってたよね」と息子。息子も何度も練習したから自分で上達したと感じたようだ。

そのあと、鬼ごっこのゲームにも参加して、彼なりには走り回った楽しい1日になったようだ。

「ありがとうございました」と帰りしたコーチにお礼をいうと、「あと11月ですね」と笑顔で声をかけてもらう。そう。あと泣いても笑ってもサッカー教室は1ヶ月を残すのみだ。息子がサッカーをはじめて8年くらいになろうか。こうして親子でタッグを組んで勝負を共にしたのは初めてであった。最初で最後のいい思い出。