人気と争い

家族全員梨が大好きで、梨にだけはお金に糸目をつけないようにしている。唯一のぜいたくである。次女の同級生のおうちから買う。10個買ってもすぐになくなる。そして、無精で家事ができない息子までついにほしいときは自分で切って皮をむくようになった。昨日は妹たちが「ちょうだい」といっても独り占めしたいとあげる素振りを見せなかった。長女は見限ってこれまた隣で自分で向きはじめる。次女は長女からもらうが、自分も切りたくなって最終的に3人がキッチンに並ぶ。長女は妻とぼくにも配ってくれる。分けようとしない息子のケチさに辟易とする。ブツブツとぼくらがいっていると長女にひとカケラわけていた。それぞれ、自分と他人はいくつのカケラを食べたか気になり、とりあいになる。梨はおいしいが、おいしすぎるために家がいちいち険悪になる。なくてはならないものだが、めんどうでもある。

働く場所でも同じようなことがある。絶対な存在がいて、みなが慕い、集う。仲間だったはずが、われこそはと、その方から寵愛を受けようと動く。他人の足を引っ張ったり、狡猾な者もでてくる。清らかで健全な世界のままではいられない。いつの世でもあることなのだろう。子どもたちには、そういう狭い環境はあまり勧めたくはない。進んだとしても、その争いに執着しなくていい。特定の人の価値観に縛られるのではなく、広い視野で好きなことを探求してほしい。