はなれの寝床

あちこちの窓を全部開けて風が入ってくるとなんとも気持ちがよい。特に日中涼しい一階の和室で寝転がるのが最高である。中庭の鴨を見ながらボーとする。朝顔のカーテンもだいぶツルが伸びて、いくつか白い花をつけている。紅葉は春先の鮮やかな赤から紫色や深緑に葉の色を変えた。

 

我が家は寝るところを季節によって移る家庭内遊牧民になれるところが特徴である。息子とぼくははなれをいま寝床にしている。寝る場所のバリエーションをいくつもってるかはその家の面白さのポテンシャルだとおもう。かつての民家は屋根裏が普通だったように。大きな家である必要はなく、いくつ寝床になる場所があるかが大事なのだ。そんなぼくは先祖が猫なのかもしれない。狭い道も大好きだし。

 

はなれの引き戸を開け放ち、夜風を入れる。外にいるけど、屋根と壁で守られている。そんな感覚になれて、とても気持ちが良い。朝は燦々と光が入ってくる。

 

横で寝る息子は頭にメロンの白いスポンジの網のカバーをして寝ないと落ち着かなくなっている。

「父ちゃん買ってきたスイカに、これある?」

いま愛用しているものが壊れてきており、スペアを求めている。スイカにそれはない。

もともとメロンももらいものだし、我が家が今後買うわけもないとわかり、このスポンジだけ売ってもいないし、困惑している。