生きる

「ねえ、ずっと生きてる人間って、いる?」(次女)

お風呂で。「いないよ。命はかならず、終わる」という事実をいうと、自分も「いつか死ぬ?」と返ってきた。

「いつかはね。ずっと先だけど。元気に長生きしてね。パパのお願い」

「パパは、何歳で死ぬと思う?」

「いつでもいいよ。パパはもう3人の子どもできたし。子どもが元気に長生きしてくれること、それが一番の願い。」

「ママの願いは何かな。」

「聞いてごらん。」

「そうする。」

「ねえ、はくさいと、りんごと、肉と、水で、人間って生きていける?」

「うーん、生きていけるかな」

「わかんない?」

彼女は曖昧な返事を許さない。

「ごはんが、ないな。お魚と」

「じゃ、それがあれば生きていける?」

「たぶん。でも、いろいろ食べないと元気でなかったり、病気になりやすくなっちゃうかもね」

「じゃ、食べる」

生きることに、いろんな方面から関心があるようだ。尊敬する住職だった祖父は「仏さまからのお与えの命。なんまんだぶ」と寝床でよく行っていた。生きているのではなく、生かされていると。