ぴよぴよ

我が家に赤ちゃん鴨がやってきた。名前はメルミという。毎日家族全員でかわいがっているわけであるが、最初は次女はかわいいものの、くちばしの機敏な動きが怖くてさわれない。息子や長女が膝に乗っけてるのを、おそるおそる指で撫でる程度だった。

それが1週間たって妻の上手な誘導もあって、無事に抱っこできるようになった。すっかり今では慣れたもので、むしろ一番肌身はなさず接している。「抱っこしたい」とケンカになることさえもある。踏みそうなくらい小さくてか弱い存在が愛しいのだろう、「踏まないようにね」とか「寂しがらせないでね」とかよく気遣う。ときどきお腹の中や膝の上で座りこんでまぶたを閉じて寝る。

長女もすっかりママのような口調で「どうした?ご飯食べたいの?」と学校から帰ってきたなりすぐに面倒をみる。宿題はそっちのけである。お風呂に一緒に入ることが最近の日課になった。

息子も友人と一緒に向かいの空き地で虫やナメクジを見つけては食べさせている。水で産毛が濡れるとバランスがおかしくなるのか、立てなくなったり歩けなくなったりすることがあった。心配してずっと深夜まで介護していた。結局産毛が渇くと回復したのでみんなで胸をなでおろす。以来、息子は寝床じゃなくてメルミのそばの和室で一人寝るようになった。このまま寝るのが別々になってしまいそうだ。意外なきっかけである。

妻は庭いじりの際に同伴させている。連れ去られては大事なので、カラスやトンビには気をつけている。

家族が増えてより楽しい日々。