花見と遺言

晩に子どもたちを連れて、桜を川沿いにみにいけた。息子はブレイブボード、長女と次女はキックボードを桜並木の下でおのおの楽しんでいた。桜の花が落ちてくるのをたくさん拾って、その日のお風呂にいれた。花びらが6つあるのをみつけて次女が喜んでいた。帰り道に息子が指定する和菓子屋にいきお団子を買う。

夕食時「パパ、社長とか部長になりたい?」と長女がきいてくる。

「ぜんぜんなりたくない」とこたえると、次女と一緒に「え?」と意外そうであった。

「社長になるなら、東京でなってる。」と理由を説明した。

「社長になったら、子どもとの時間よりも仕事が大事になるよ。家にも帰ってこない。そういう人生もある。でも、パパは子どもといたいから。いつか仕事人間に戻るけどね。」と付け加えた。

「おれらが大きくなったらか」と息子。彼はUターンの決意含め、そのあたりよくわかってくれているようだ。

「そうだな。」

仕事を軽んじているわけでは決してない。定年があって、そのあと毎日休みだなんてまっぴらごめんである。最後は両親のように自営業になって、人生最後まで求められ、仕事をしたい。そのためにも今こうして子どもと思う存分過ごしておかないと、むしろ踏ん切りがつかず、悔いが残る。とはいえ、子どもたちのおかげで、明日死んでも悔いはない。

 

息子が「連帯保証人」について話題にしたので「絶対になるな。遺言だと思え」と真剣にいう。

「もし、友だちが『なってくれなきゃ友人やめる』といったら、友だちをやめろ。」

息子も目つきがかわってきいている。いつか長女と次女にも説明してやってくれとお願いしておいた。

聞いてた次女が「それ、なあに」と息子に聞いてきたので、いま説明することになった。真面目に息子は説明するが、途中から次女は別の話題の話をしはじめた。

「いつか、わかるようになったらしてあげてな」とぼくから再度息子にお願い。

 

ちょんぼで職場を2往復するはめになり、4時間無駄にする。自転車で走る川沿いの満月と桜の風情ある景色が救いだった。車も人もほぼいなかった。