窓の外

朝起きて寝床で。妻が「海、はっきり見えるよ」とモニョモニョ起きかけの娘たちにいう。寝床には横に細長い窓が走っている。

窓をのぞきこみ、「ほんとだ」と長女。

まだ寝ている息子に「ねえ」と起こしがてら伝える。息子も身体を起こすついでに気になってみたらしい。

「ほんとや」

「パパもみな」と最後まで横になっているぼくに長女。

見てはいないけど「横長の窓にして、よかったよね。ちょうど水平線がよく見えるでしょ」と返事。まだ横になっていたい。

「うん」

実際にみてみると、街の先に広がる今日の海の色は空の青空より、ずいぶん濃くて、はっきりと境界がわかる。冬の間はお互いの色が近くてぼんやりしているのが常なのに。春だ。