尾道弾丸旅行

恩師の住宅の内覧会があって、「新境地だから見においで」とお誘いいただいたので、遠路はるばる瀬戸内海の島まで、車を飛ばして家族を連れて行ってきた。1泊2日、1500km、16時間の弾丸旅行。穏やかな瀬戸内海に面して立つ、年下のとんでもないエリートの、大金持ちの家族の大豪邸の別荘であった。ポコポコと四角い箱が地上から生えて、ところどころくっついたような造形で、周辺の遠ろからも際立っている。月に数回、週末に来るだけでこの大きさ。お金のことは全く気にしなくてよいのだろう、なんの制約もなく「得たいものは得る」といいう自由さにあふれていて、質素倹約、制約だらけの我が家にしてみたら完全に非日常のライフスタイルである。子どもたちも感想として、「でかい」「大きい」という言葉がまっさきに口をつく。

世の中にはこんな経済的な成功者もいるのかと天を仰ぐ思いであった。妻とぼくにはもう可能性はないが、子どもたちはどう思ったか。欲しいと思えば、手中にできる可能性もなくはない。長女はうらやましくおもったみたいで「わたしもこういう家すみたい」といっていた。感化されやすいのかな。長男はそこまでではなさそうで、ひとしきりおうちの中を拝見したあと、海を覗き込み、貝殻をみつけたり、「釣りをしたい」いったり、最後は外が気になっていた。次女はそのお家のお嬢様とご一緒させてもらって、ずっと遊び回っていた。ちなみに、ぼくはこっちに帰ってきて、自分にとってほしいものというのはずいぶんシンプルになっているので、どうしても相対的な見方になる。もっとも、恩師の先生のお仕事ぶりを拝見できれば十分なのだから。

サラリーマンの中で、日本の0コンマ以下、ゼロがたくさん並ぶ、ほんの数%の上澄みの世界を垣間見る貴重な体験であった。そして、これまでもたびたびあったが、本当のエリートって、権威的ではなく、リラックスしてて、コミュニケーションも自然で、人を緊張させず、好印象でしかないお人柄で、それにも希望を感じるのである。

30代を最後のロングドライブは、来し方を振り返りつつ、これからの10年の生き方を考えさせられるものだった。教員になった大学時代の先輩とも夜な夜なサシで語り合えて、自分の大学時代を思い返しつつ、今の大学生のスマートさや、どう育成するべきかを議論できたのもいい思い出。午前3時に家族の待つ福山のホテルに戻ったものの、興奮してほとんど寝れなかった。

尾道の千寺展望台にも寄り道できた。天気もよく、心地よい風が吹き、海に浮かぶ島々が遠くまでみえた。「ここで一句」という投書箱があり、子どもたちも競って書いて投函していた。

なにはともあれ、無事に帰ってこれて何よりである。帰りの車で子どもたちは「アナと雪の女王」をみて、サービスエリアで食事をしたあと、寝た。長女と息子で、リズムしりとりがずいぶん盛り上がっていた。負けるとわかっていた次女は「やらない」と参戦しなかった。他にみた映画は「シュガーラッシュオンライン」、「名探偵コナン、ベイカー街の亡霊」、「ティンカーベル月の石」、「メリー・ポピンズ」。メリー・ポピンズは息子はパッケージからまったく興味を示さなかっにも関わらず、見始めたら終始ゲラゲラ笑っていた。「最近、なんでも素直でかわいい」と妻による息子の評。

家族での夕食は福山のジョイフルだった。尾道ラーメンは結局食べられず。