利き腕

娘ふたりを寝かしつけるとき、利き腕ができたようだ。ぼくが仰向けで、2本の腕それぞれを枕にして次女と長女が寝るのだけど、次女が「絵本の方がいい」と譲らない。右腕だ。長女はそれをきいて左側を陣取る。次女は「ギュッとして」とぼくの腕を抱きかかえて寝つくのであるが、身体の向きとぼくの腕の曲がり具合は右腕の方がシックリくるようだ。長女は単純な腕枕だから左腕で問題ない。

そのせいか、ここ最近、次女の寝付きがすごくよくなった。前は1時間もおしゃべりしたり寝なかったのだけど、15分くらいで寝るようになった。相変わらず、長女はものの数分で寝る。長女は寝付いたら身体がビクっとなるからわかりやすい。回路が切り替わるようだ。東海道新幹線で変電したときに一瞬暗くなるような、あれ。そうなったら、そっと腕を抜く。宇宙にいって軌道に乗ったスペースシャトルが、衛星を切り離すように、長女は睡眠空間に漂っていく。

次女はまたちがって、深い眠りに入る直前に、鼻と口から「ふぅー」っと深い息を吐く。