土曜日のルーティン

今日は息子のお世話で将棋教室、テニス、図書館、インドカレーのバイキングという同伴フルコース。将棋教室ではじっくり考えて手を打つようになっていた。年末の最後に、いつも胸を借りる相手との対局が途中になった。その盤面を写真で映しておいたので、白い紙に鉛筆でぼくが駒の配置を書き写してあげると二人は喜んで再開していた。

テニスでは最近安定してきて、「クラスがひとつあがれるかも」とコーチに言われたそうだ。1年以上かかってようやくなので喜びひとしおだろう。

図書館ではいつものように取り寄せていた本を十何冊を借りて、検索機で読みたい本を探して予約する。最近では「この本を買って欲しい」とリクエストもしているようだ。

カレーでは借りてきた本を読みながらナンとインドカレーをほおばる。ぼくが盛っていたポークカレーの中に肉の塊をみつけて「ちょうだい」とスプーンを入れて持っていこうとする。

「それ、辛口だぞ」

「やばい」という顔になり、スプーンを止めてしばらく考える。彼がよそってきた甘口のカレーはひき肉カレーと野菜カレーしかなくて、このポークの肉の塊はない。

しばらく考えてから、その肉の塊だけをよそって、それを甘口の野菜カレーの中に浸して中和させてから食べていた。

「大丈夫や、ちょっと辛いけど」と満足そうであった。

それに味を占めたのか、席をたって辛口のポークカレーを自分の分として皿にもってもってきた。同じやりかたで肉の塊を中和させながら食べている。

彼は本を2冊を持ち込んでいて、ずっと読んでいるから会話はない。食べるのも遅いからぼくは手持ち無沙汰になるから、何かと話しかける。昨日の公文の昇級試験のこと、先に彼が読み進めているキングタムのこの先のこと、中学校に入ったら部活どうするかなど。

 

いつもの二人の土曜日ではあるが、あっという間にやってくる1年後にはもう中学校を控えた時期になる。いま毎週あたりまえのように繰り返しているこのルーティンが、なくなる。避けられない。水曜日のサッカーの送迎もなくなる。ぼくはそうなったら、何をしたくなるんだろう。

夜、バスケから帰ると息子だけがダイニングにいて、いろいろ話しかけてくる。ポケモンのゲームの話、iPadに入っていた翻訳ソフトの話、夕食もカレーだった話。反抗期も落ち着いたのだろうか、最近は穏やかになった。

11年前に生まれてからこの子がぼくの生活の中心軸になってきたけど、もうそこまで親の直接的な手助けも、そこまでいらなくなる。ゴールが見えてきている。そうおもうと、今の毎日がますます貴重に思えてくる。

バスケでご近所の友人もいらっしゃっていて、息子のことを「真っ直ぐで、素直に育ってるから、これからどう成長しても大丈夫ですよ」と言ってくれた。普段から息子とたくさん遊んでくれている方からそういう言葉をお世辞でももらえるのは、親としてこれ以上の喜びはない。