出たがり

「なんで顔、かくしてるの?」(次女)

バスケの帰り道。車のテレビで顔にスモークかかった子どもをみて。

「はずかしいんじゃないかな。テレビでるの。」

「ふうん」とつぶやいてしばらく時間があったあと、

「なんで。テレビ出られるの、いいじゃん」と納得いかない様子であった。

里親家族についてのドキュメンタリーだった。生後まもなく母が蒸発して、父に見捨てられた子が施設で大きくなって今は12歳。毎週父と今では夕食にいくのだという。父のことが好きで、「父が歳をとったら面倒みてやる」とか「「父に何かしてあげれるから、いまは。」とか、愛がある。父は「一度捨てたのにね」と目を細めている。

「母にあいたい。ぼくのことはいいから、父に謝ってほしい」とさえ、いっていた。こんな寛大でおおらかで優しい12歳がいるのかと、衝撃だった。一緒にくらしていても、うまくいかない父子もいるのに。夕食のときの会話が自然で、お互いが尊敬しているのがわかり、仲睦まじく、素敵だった。

バスケで人生の先輩の息子が20歳で、今では一緒に晩酌するそうだ。酒を飲むと喋らない息子の口が軽くなって、いろいろ話せるのだそうだ。「うやましいです」と素直にリアクションしたら「すぐだよ、すぐ」といわれた。あと9年。