今日は晴れた。次女の朝ごはんと着替えも早く終わったので、歩いて登園する。
「ひさしぶりに、歩いていけるね。」
ぼくは自転車にごみ袋と彼女のカバンと、長女のリュックを手に、自転車を押していく。今朝は「自転車に乗る」とはいわずに走っていく。「寒い〜」とポケットに手をつっこみながら走る。長女が小学校で先生から「ポケットに手を入れるのはかっこわるい」といわれたといってたな。
「あぶないよ」と手を出させる。
「手袋、してくればよかったね。」
ぼくのやつを貸そうとしたけど、大きすぎるからやめた。
代わりにじゃないけど、開けっ放しの胸ボタンをパチパチとめて閉じはじめる。しばらく止まって、最後まで全部閉じるまで見守る。
今日は遠くの山並みから、反対は海までスカッと一望できる。
「海も見えるね」
「ちっちゃいから、みえないよ」
そんなことはないと後ろを指差すと「ほんとだ」と見つけた。
「ねえなんで、涙出るかわかった?」
「ごめんまだだけど、今日帰ってきたらみんなで考えよう。どういうとき、涙がでるかな」
「悲しいとき。あと、感動したとき。」
「どういうとき、悲しい?」
「怒られたとき。」
「そうだね。怒られたときってどんなときかな」
「・・・。目の下に、涙袋があるんでしょ。」
急に物理的な話になった。
「そう。目って、ずっと濡れてないといけないんだよ。」
「知ってる。猫ちゃんの目、濡れてないとたいへんなんだって。」
「人間も、一緒だよ。」
「ふうん。」
階段を降りて、道を渡ると結婚式場の前に出る。大階段を登れば保育園のそばにいくが、今日もいつものように結婚式場の脇の迂回路でいく。もっと話をしていたい。
「ねえ、波ってなんであるかわかった?」
こないだの宿題だ。マズイまだ調べてない。
「わかんないけどさ、海って、大きなお風呂みたいなものでさ。お風呂をユサユサしたら、どうなる?」
「お風呂なの?」
「そう、地球って丸いんだけど、海ってそのお風呂みたいなところ。」
「じゃなんで、熱くないの?」
「あ、ごめん。プールだな。プール。プールをユサユサしたらどうなる?」
「波ができる」
「そう、そんなかんじじゃないかな。」
家に帰ってきて調べたら、それはサブの理由で、メインは風のようだ。口で吹いたら、水面にさざなみができる、あれ。あとで訂正しておこう。
少しペースを上げるために、自転車のサドルに座らせて、ぼくに捕まらせる。日陰になると「寒い」と震える。
「ねえ、花火って、火?」
「そうだよ」
「でもさ、火って、赤色とかでしょ。花火って、なんでピンクとか緑とかの色なの?」
わからない。
「たぶん、燃えたらそんな色になるモノもあるんじゃないかな。」
「ピンクのものが、燃えたらピンクの火を出すの」
「そういうわけじゃないのだけど。石とかかな。調べるね」
見上げたら、街路樹が落葉して、あとにトゲトゲの実がなってる。
「あれ、なに?」と次女。
「トゲトゲだね。食べられないように、ああなってるんじゃない。中に種があるのかな。」
「わからない。食べたことないから。」
しばらく進むと足元を見ると、スイセンのような黄色い花が咲いていた。
「寒いのにがんばって、咲いてるね」とぼく。
「うん。保育園のみんなに見せたいな」
「でも抜いたら、可愛そうだよ」
「わかってる。だからやらない。あの種を、おうちの庭にうめたいな。」
もうすぐ保育園につく。
こども園の看板をみて、
「ねえなんで、あそこに「こども」って書いてあるの?」
「こども園ってかいてあるんだよ」
「そうなんだ」
保育園について、いつものシール帳にシールを貼る。今日は11月最後の日。シールがびっしり埋まっている。「おまけのご褒美シールも貼るんだ」
最後まで準備をするところをみてお別れする。最近は、「行かないで」にならない。