がんばり屋

久しぶりに長女のトランポリンにいく。ずいぶんうまくなっていた。まっすぐ飛んでくるっと後ろ向きになるだけだったのが、今や「コシ、コシ、かかえ、開脚」など、連続技になっていた。コーチが指導しないときも、必死で隣の空いてるやつで練習している。こんなの1時間半もぶっとおしでやったらぼくだってヘトヘトになる。

途中で「お腹すいた。食べるものない?」と聞いてくる。無理もない。学校から帰ってきて、何も食べずにそのまま。バナナを買っておくべきだった。山の中だから、一番近くのコンビニまで行って帰ってきたら30分はかかる。

「あと30分したら練習おわるから、そしたらすぐ帰ってシチュー食べよ。」

シチューの仕込みをやってきておいた。帰ったころには、妻が引き継いで仕上げてくれているはずだ。

「帰る途中で、お店に寄って」

「お店寄るより、まっすぐ帰るほうが早いよ」

ほっぺたを膨らませて、また飛びに戻っていった。

練習が終わったら、たまたまコーチがUSJのお土産でポッキーをくれた。帰りの車でボリボリ食べている。

終始練習はご機嫌で元気いっぱいだけど、この疲れはきっと早くくる。帰ったらご飯とお風呂を早く済ませて寝かせよう。

家につくと次女が「お風呂洗ったよ〜」。体育館が寒すぎて、ぼくが妻にラインでお願いしてあった。

次女にお礼をいいながらお風呂に入る。長女もあとからやってくる。元気いっぱいだった顔が急にお疲れの表情になり、笑顔がなく言葉が少ない。あくびがでている。

「シチューたべて、早く寝ればいいよ」

顔がさらに曇る。なぜだ。

そうだ、彼女はまだ学校の宿題をやっていない。まだそれが残っている。

「宿題があるんだったね」

うなだれるように、うなずく。

 

風呂から上がり、シチューをたいらげたあと、彼女は宿題にとりかかった。計算カードの読み上げや、国語の教科書の音読。さらに、公文までやっていた。そこからフルーツを食べて歯を磨いて。すべてを仕上げたら20時過ぎだった。いつもより1時間早い。「早く寝よ」

妻を連れて寝床にいった。次女もついていく。

あとからぼくもおいかけて、横に寝て、今日の頑張りを抱きしめながら褒めてやる。いつものように、身体がガクンとなって、じきに眠りについた。

がんばり屋さんなんだな。この子がぼくなんかの子でほこらしい。なんども「ありがとう」と伝えた。