手のほくろの昔話

長女が次女にまつわる昔話を。ぼくらは忘れていた。

次女がまだ年少のとき。家の階段で転んで泣いた。手をついて打ったのもいたかったようだ。

「ほくろ、とれちゃった」と泣いている。

次女の手のひらの手首の近くには小さなほくろがあった。

みんなで近寄って、手のひらを見たらない。衝撃で皮が向けたか。

「大丈夫でしょ」とぼく。

「もう一つの手をみせて」と長女。

次女がもう一つの手を見る。

「あった」

みんなで笑ったという話。