なごりおしい

息子の学童にかようのも残り数日になった。先日、息子が学童に置いていった荷物を取りにいったとき、いつもは「ありがとうございました。さよなら。」とだけ言葉を交わす先生が珍しく話しかけてくれた。

「寂しいわ。残り少しで」

意外だった。息子には手を焼くこともしばしばあったようで、電話をもらっていた。その都度息子を叱り、次の日先生に謝らせた。

「お父さんがしっかり怒ってくれるから、ありがたいの。ちゃんと反省するし。『お父さんに言うよ』っていったら『言わんといて』ってなるし。最近は怒らない親御さんも多いから。ちゃんと家でお父さんが『他人に迷惑をかけるな』っていってくれてるみたいだから、それが助かる。」

「ならよかったです。最近はもう口ごたえもするし、素直にいうことも聞かないでしょ。」

「そうやね。何かいうと怒ることもあるし。でも、後に引きずらないし、素直だし、にくたらしさはないね。まだまだかわいい。」

「そうですか、かわいいですか。」

「うんまだまだ。かわいいわ。だから寂しいね。」

二人の先生でウンウンそうだね、と言い合っている。たぶんこの感じ、ぜんぶお世辞ではなかろう。

そうやって嫌悪感を持たれることもなく、息子がしっかり人間関係を築けていることが確認できて、ほっとしたし、なんとも嬉しい気持ちになる。家で褒めてやる。