たとえば

お風呂はなにかにつけ、面白いことが起こる。

今日は3人の子どもと入った。次女が大好きな兄に対して「ぜんぶかっこいい。ぜんぶすき」と「ぜんぶラブコール」を送っている。まんざらでも顔を息子もしている。

ただ、息子も長女もぼくも、何かを知りたくなって、「どんなところ?」と尋ねる。

次女は「ぜんぶ」としか答えない。

やきもきした空気が流れたので、ぼくが「たとえば?」と質問を変える。

それでも次女は「ぜんぶ。」

長女がすかさず「『たとえば』なのに、『ぜんぶ』だとおかしいでしょ」と的確なツッコミを入れる。息子も合わせて笑っている。

「だって、決めれれないんだもん」と次女。

「いいの。なんでもたとえば、『優しいところ』とかあるでしょ」と長女。

これまた的確である。お姉ちゃんだねぇ。

困っている次女に「なんでもいいからさ、最初に思い浮かんだの、いってみ」とぼく。

次女は「じゃ、むね。」

「むね?!」

誰も予想してなかった答えに、息子も長女もぼくも一斉に笑う。

何が好きで「むね」とこたえるのって、オッサン以外いないとおもってたよ。

確かに何でもいいっていったけどさ。

長女とぼくが先にお風呂に出る。長女がまっさきにこの話を妻に聞かせている。

その後も、しばらく息子と次女は二人でキャッキャあそんでいた。息子が胸を貸しているということか。