ベスト

昨日は息子の水泳教室をみんなで見に行った。月末のタイム記録会。

はじめること6年、息子は水泳を卒業する決意をした。来月末で最後になる。

はじめてはこのプールの体験教室。たしか長女が誕生するとき、妻が里帰りしているときだった。まだそのときは東京に住んでいた。東京に戻ったあと、両国の水泳教室に通うことになった。土曜日の朝だった。前にも書いたけど、帰り道はできるだけ歩いて帰った。途中に桜鍋のお店があって、店先にイノシシが丸ごと足から吊るされていた。それを興味深々にみていた。

ヘルパーを腰につけ、最初はパチャパチャ遊び、最後はクロールを習っていたあの頃。いまはもう個人メドレーを泳ぐまでに進歩して、毎回数百メートルを泳いで帰ってくる。身体からあどけなさは消え、すらっと大きくなった。実に頼もしい。

その日は記録会だから、軽いアップをしたあとはずっとプールサイドに自分の番が来るまで座っている。プールサイドは好きな本も読めず、さぞかし暇だろうと思ったが、となりの友だちとずっとじゃんけん、あとから聞くと「戦争」だったそうだが、飽きもせず繰り返しやっている。

2階のギャラリー席からみんなで手を振ると、それに気づいて照れくさそうにチラッとだけ手を上げて返す。

待つこと30分くらい。しびれを切らしていた長女と次女は繰り返し近くのファミレスに早くいきたいと言っていたが、ごまかしごまかしなんとか、いよいよ息子の番まできた。

25メートルずつ4泳法。久しぶりにみた妻が「うまくなったね」と感心しつつ、「痩せてて脂肪がないから、身体がすぐ沈むから大変そうだ」と心配している。

タイムは1分35秒。1分30秒を切らないと進級はできないので、今回は不合格。プールサイドから手でバッテンをつくって合図してくる。それをみた長女と次女は「かわいそう」と同情している。

とはいえ、堂々たる自己ベストだったようだ。久しぶりに出た。

「かわいそうじゃないよ。よくがんばったねといってあげよう」

妻と2人の娘は先にファミレスに向かう。ぼくは着替えて出てきた息子と二人で後をおいかける。自己ベストをおめでとうと褒め、「来月は合格までいけて気持ちよく終われたらいいね」と励ます。

息子の中ではもうやめるという整理がついているが、もう息子の水泳姿をみる機会もなかなかないかとおもうと、ぼくはどこか寂しい。とはいえ小学校5年生、そろそろ習い事も見極めて、好きなもの、得意なものに集中していく時期がきた気もする。まずは水泳をやめ、4月からはサッカーとテニスに絞ることになった。

一方で長女も次女も「習いたい」と言い始めているから、いよいよこの子たちの番が巡ってきたということだ。また違った楽しみがあるのだろう。