去年のスキー

今年はまだスキーに行けていない。去年の今頃は、息子は一人ではじめてリフトに乗って、滑ってこれるようになった。リフト乗り場で見送ったあと、ぼくは下から上のほうからくるであろう息子の姿を探すのに必死であった。親の心配をよそに、ツーツーと滑ってきて、楽しいといって何度もまた行った。

長女もはじめてスクールに入った。リフトに初めて乗って、なんとか滑ってこれるようになっていた。スクールが終わったあと、一緒にリフトに乗った。リフトを降りて、ちゃんとVの字にするんだよと念を押して、パパがあとからいくからねと先に長女を送り出した。滑りはじめた長女。その瞬間、「まずい」と気づく。どんどんスピードが早くなっている。傾斜に対して角度がまずかった。斜面に沿った角度で発射してしまったものだから、Vの字にしても止まらない。あれよあれよと長女の背中が小さくなり、追っかけようとしたころには思いっきり前のめりにつんのめって転んでいた。スキーがはずれていた。

慌てて追いついて、長女を起き上がらせる。顔も雪まみれである。何が起こったかわからない、といったかんじである。泣いていない。いや、泣くこともできないくらい状況を飲み込めていないかんじ。ココハドコ、ワタシハダレ。痛いところは幸いなく、スキーの板も当たらなかったみたい。ほっとするけど、自分の油断で長女を痛い目にあわせてしまって心が痛む。怖かっただろう。スキーを拾って、何度も謝る。はじめてのリフトで、この体験はスキーを嫌いになってしまうかもしれない。そのあとは無理させず、妻にも報告して、ひとまずぼくは次女担当に回る。

次女は子どもスペースで、いろんな種類のソリを何度も滑った。一緒にゆるい傾斜のベルトコンベアにのって、上でソリに一人滑らせて、ヨイショと背中を押した。そのあと、ぼくも別のソリで追いかけた。左のゲレンデをみると、長女が滑ってきていた。妻があとからついていっている。トラウマにはなっていないようで胸をなでおろす。

今日は雪が降っている。今年も1回は行けるかな。次女をスクールデビューさせてみたい。