ふんぱつ

ふんぱつといえばである。昨年で一番のふんぱつはぬいぐるみであった。トラノモンという、ドラえもん虎ノ門ヒルズのバージョンのぬいぐるみ。30センチそこそこのやつ。2千円を超えた。

虎ノ門ヒルズで古巣の友人にあったあと、1階のトラノモングッズを売っている屋台にいく。子どもたちが夢中でドラえもんをみているので、きっとお土産に買っていくと喜ぶだろうと思ったのである。気楽にいったはいいものの、半畳もないその屋台にあるグッズ、やたらと高い。メモ帳が500円、ぬいぐるみは2000円、Tシャツにいたっては5000円くらいする。思っていた予算の5倍くらいする。

屋台の前で、逡巡するわたし。どれも買わずに撤退という手もあるが、子どもたちを喜ばせたいという気持ちも強い。

3人の子どもにそれぞれ買う、という選択肢はもう消えた。一つである。ケンカをしない、みんな喜ぶ。どれがコスパがいいのだろう。

にこやかに話かけてくれるスタッフさんをよそに、まるで将棋のプロ棋士のように真剣な顔で商品の前で長考する私。

いやまてよ、屋台風なので、カードでの支払いはできないと言われたら、それまでである。現金のみなら、もちあわせはない。きっと現金のみだろう。

「カードで支払い、できますか?」

「はい、できますよ」

即答であった。五輪おそるべし。この電源がないような屋台風でも、カード対応している。もう買わない口実はなくなってしまった。

別に買わなくても子どもたちは文句をいわない。だけど、喜ぶ顔がみたい。

迷った末、ぬいぐるみを買うことにきめた。「みんなのだよ」と念を押して渡そう。

帰宅して渡したら、それはそれは喜んだ。特に長女は抱っこしまくってかわいがった。

たまにはふんぱつも、いいものである。