字の特訓

友人から勧められた中塚さんの1ヶ月でペン字で字がキレイになるという本。息子が意を決して初めた。放置していた字の汚さをついに改めよういうことで。こないだ夜中できかっけは忘れたけど強制的に習字を習わせるという話に妻と息子でなって、息子が泣きながらいやだともめた。やりたくない習い事に払う金はない、お小遣いで行けとぼくが追い討ちをかけてしまったこともあるのだろう、ペン字で解決するならそれが親子ともども一番いいということで息子も観念したのだろう。それで字がキレイになったら妻が1万円あげてもいいともいっていた。

順調にいやがらずやっている。いつになく丁寧な字がかけている。だけど公文になると元の文字に戻る。矯正するにはまだまだ時間がかかりそうだ。まずは姿勢からちゃんとしろと繰り返す。すぐにうつむいてしまう。

あいうえおを横で息子が書いているのを見て、長女が「わたしもやりたい」ということでもう1冊買った。

ぼくが息子と同じころは習字を習っていた。ピアノや絵など習わせられたたくさんの習い事のなかで一番興味をもった習い事だった。一発勝負で適度な緊張感と集中力が求められ、うまい字が書けたときの澄んだような精神状態が面白くて、自然と続いた。

先生のアトリエで、書いたものを先生に見せにいったとき、先生が一瞥して笑いながら「もう帰りな」と言ったのを鮮明に覚えている。確かにそのとき、ぼくは帰りたかった。字で、心って見透かされるんだ。ひいては、その人そのものが現れるんだ。

以来、字に興味が湧いた。小学校で、他のクラスの先生も含めて手書きの学級通信を見ては好きな字を書く先生を見つける。そしてその先生の字をたくさん板書したいから、担任になることを願っていた。いわゆる綺麗な字というより、我流の活版印刷のようなフォントを持っている先生がよかった。大きくなって建築に興味がわいたのも、書道の影響が大きい。

てなわけで、この息子のいよいよ深刻な状況にピッタリこなくて、適切なアドバイスの仕方がわからない。何事も自分から興味を持たせなきゃ、変われない気がする。